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2022.02.11

ファッション

MADE IN JAPANの「ナナミカ」デニムを分析。こりゃ大人が気に入るワケである

「世界最高峰! 日本デニムの今」とは……

いや、愛してるって。でも、最近はカラダがついてこないんだよ……。

デニムの話である。大好きではあるんだけど、重くて固く、やや敬遠しがちな年頃の同輩たちに捧ぐ、ナナミカのメイド・イン・ジャパン。このデニムとは濃密にまぐわれそうですぞ。

心と体をつなぐナナミカのデニム

デニムの魅力は痛いほどわかっている。だからこそ、ガタがきた体を理由に中途半端なアイテムへは足を通したくはない。それでもやっぱりはきたいのがデニムってもんだ。
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ならば、試しにナナミカの新作を手にとってみるといい。

「」

「5 Pockets Denim Straight Pants」 2万2000円/ナナミカ(ナナミカ 東京 03-5728-3266)


ご覧のように、見た目は我々が慣れ親しんだ、オーセンティックなストレートの5ポケットデニムである。

ただ、いざ履いてみるとなんともうれしい着用感。大人たちのニンマリを引き出すべく施された工夫とは一体……さっそく2つの着目すべきディテールを紹介しよう。

① 意外なガゼットクロッチを装備!



デニムには珍しく、股下にはクライミングパンツよろしくなガゼットクロッチ(マチ付き)を装備。これが、足の可動域をしっかり確保してくれる。腰回りが窮屈だとか、足が動かしにくいといった“デニムあるある”がこれでなくなる。

② あるべきサイドシームがない!

一般的なデニムはここに縫い合わせがあるはずだが。


ナナミカの新作では、一般的なデニムでは必ず目にするものが排除されている。それがサイドシーム。

基本的にデニムは、前身頃と後身頃を事前に仕上げ、それを脇縫いで縫製するのが一般的。そのためサイドに縫い目ができる。しかし、ナナミカの場合は筒縫いを取り入れ、肌に縫い目が当たる不快感を払拭しているのだ。
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最大のポイントはオリジナル生地である!

と、まずは気の利いた2つのディテールを取り上げたが、一番のキモはヨコ糸にカバーリングコアヤーンを使用したオリジナル生地だろう。

と言っても「カバーリングコアヤーン? 知らんやん」という人が多いと思うので解説しよう。

カバーリングコアヤーンとは、ポリエステルにコットンを巻きつけた糸のこと。軽量にして乾きやすいという特性を持ちながら、見た目や肌触りはいたってコットンライクという、ワガママになってしまった我々の心と体にうれしい作りとなっているのだ。


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しかも、デニムの特性上、斜めに織りの組織(稜線)が現れ、綾目(斜めに畝として見える織目)の方向にねじれてしまうのが普通だ。

ただ、今回のナナミカのデニムではブロークンツイル生地を採用し、途中で綾目の方向を切り替えることで生地にかかるストレスを分散させている。結果、ねじれにくい作りとなっているのだ。

裏から見ると、その様子がよくわかる。


しかも、通常ヨコ糸は白を通すが、あえてグレー糸を起用。そのため、はいていくほどになんともいえない味わい深い表情が出てくる。はきやすい一本ながら、ちゃんと我々の好みも理解してくれているのである。

俺たちの気持ちを汲んだからこその「ジャパンメイド」


「日常に快適をもたらす」をコンセプトとしているナナミカが、デイリーウェアのデニムをラインナップに招き入れるのはある種必然。



そのデニムに快適さをもたらすべく、これまでもゴアテックスをラミネートしたデニムや、クールマックスを取り入れたデニムを生み出してきた。

根底にあったのは、大人たちが慣れ親しんできたデニムを「いくつになっても無理なくはいてほしい」という気持ちである。

微妙な色落ちに神経を尖がらせ、絶妙なシルエットやディテールに途方もない価値を見出す。そのデニムへのパッションは、世界広しといえど日本特有のものだ。

だからこそナナミカは、ワークウェアの縫製に一日の長があるファクトリーと長年パートナーを組みながら、ジャパンメイドのデニムを世に出してきた。そう聞けば、この一本に惹かれるのも納得である。

我々の心と体をいたわり、期待に見事応えてくれた今季のナナミカのデニム。いつまでもあの頃の気持ちを持ち続けたい大人にとって、絶好の一本に違いない。

「世界最高峰! 日本デニムの今」とは……
「デニムと言えばアメリカ」。かつてのヴィンテージブームを経験した人たちはそんな先入観を持ちがち。しかし今、世界を見てみると、プロはこう口を揃える。「デニムと言えば日本」。なんで? 方々から探る、世界最高峰、日本デニムの今。
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鈴木克典=写真 菊地 亮=取材・文

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