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最大のポイントはオリジナル生地である!

と、まずは気の利いた2つのディテールを取り上げたが、一番のキモはヨコ糸にカバーリングコアヤーンを使用したオリジナル生地だろう。

と言っても「カバーリングコアヤーン? 知らんやん」という人が多いと思うので解説しよう。

カバーリングコアヤーンとは、ポリエステルにコットンを巻きつけた糸のこと。軽量にして乾きやすいという特性を持ちながら、見た目や肌触りはいたってコットンライクという、ワガママになってしまった我々の心と体にうれしい作りとなっているのだ。



しかも、デニムの特性上、斜めに織りの組織(稜線)が現れ、綾目(斜めに畝として見える織目)の方向にねじれてしまうのが普通だ。

ただ、今回のナナミカのデニムではブロークンツイル生地を採用し、途中で綾目の方向を切り替えることで生地にかかるストレスを分散させている。結果、ねじれにくい作りとなっているのだ。

裏から見ると、その様子がよくわかる。


しかも、通常ヨコ糸は白を通すが、あえてグレー糸を起用。そのため、はいていくほどになんともいえない味わい深い表情が出てくる。はきやすい一本ながら、ちゃんと我々の好みも理解してくれているのである。

俺たちの気持ちを汲んだからこその「ジャパンメイド」


「日常に快適をもたらす」をコンセプトとしているナナミカが、デイリーウェアのデニムをラインナップに招き入れるのはある種必然。



そのデニムに快適さをもたらすべく、これまでもゴアテックスをラミネートしたデニムや、クールマックスを取り入れたデニムを生み出してきた。

根底にあったのは、大人たちが慣れ親しんできたデニムを「いくつになっても無理なくはいてほしい」という気持ちである。

微妙な色落ちに神経を尖がらせ、絶妙なシルエットやディテールに途方もない価値を見出す。そのデニムへのパッションは、世界広しといえど日本特有のものだ。

だからこそナナミカは、ワークウェアの縫製に一日の長があるファクトリーと長年パートナーを組みながら、ジャパンメイドのデニムを世に出してきた。そう聞けば、この一本に惹かれるのも納得である。

我々の心と体をいたわり、期待に見事応えてくれた今季のナナミカのデニム。いつまでもあの頃の気持ちを持ち続けたい大人にとって、絶好の一本に違いない。

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「デニムと言えばアメリカ」。かつてのヴィンテージブームを経験した人たちはそんな先入観を持ちがち。しかし今、世界を見てみると、プロはこう口を揃える。「デニムと言えば日本」。なんで? 方々から探る、世界最高峰、日本デニムの今。
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鈴木克典=写真 菊地 亮=取材・文

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