ふた皿目「豆鯵の南蛮漬け」
皆さんにとっておふくろの味って何ですか? 私にとっては「豆鯵の南蛮漬け」がおふくろの味。父が毎晩晩酌をする人だったので、子供の頃から、酒のアテのようなおかずが多い食卓でした。甘酸っぱい酢と、カリカリに揚げてある鯵の組み合わせがいいですよね。最近ようやく母並みにおいしくできるようになったかな……という献立です。
鯵の旬は6〜7月の盛夏。豆鯵は、ジンダとも呼ばれています。8月に入ったら「旬」を少し過ぎる食材になりますが、鯵の効能は
温胃(【
おんい】胃を温めて、胃の働きを活発にする)、
補中(【
ほちゅう】「中」は、脾胃など消化器官を含めお腹のこと。消化機能を活発にし、お腹の働きを整える)、
健脳(【
けんのう】脳の働きを向上させる。物忘れなどだけでなく、感受性などにもいい影響がある)。
胃腸を温め、体力減退を防ぎますので、食欲の落ちる夏にぜひ取り入れたい食材です。最近忘れっぽいな……という方にもおすすめです。
南蛮漬けに使う酢は、夏は梅酢がおすすめです。梅干しは汗をかきすぎて気を消耗しがちな夏に摂ると、汗の出すぎを防ぎます。一緒に漬けているのは、玉ねぎと、赤ピーマン。いずれも
和胃、
理気(【
りき】気の停滞を解消し、気を正常に巡らせる)。胃腸の調子を整え、鬱々とした気を飛ばしますのでストレスにもいいですね。
仕上げに青紫蘇を添えることで、冷房やビールで冷えたお腹をあたためます。
[材料]2人分 豆鯵 10〜15尾(スーパーで買う場合は1パック分) 玉ねぎ 1/2個 赤ピーマン 1個 青紫蘇 10枚 甘酢 200cc(酢200cc、きび砂糖は大さじ3[好みで調整]、梅干し1個) [作り方] ①豆鯵はわたとぜいごを取って、小麦粉を軽くまぶす。 ②玉ねぎとピーマンを千切りにし、水にさらしておく。 ③甘酢をつくる。 ※酢を鍋にかけ、沸騰直前で火を弱めて、砂糖を入れる。溶けたら火を止めて冷ましておく。しっかり冷めたら、梅干しを入れて少しつぶしておく。 ④豆鯵を揚げる。 ※中骨まで食べられるくらいしっかりと。目安は、箸で持ったときの鯵が軽くなったなと思ったとき。 ⑤揚げた豆鯵(④)を熱いうちに、さらしておいた玉ねぎと赤ピーマン(②)と一緒に甘酢(③)に入れて、30分くらい漬け込む。 ⑥盛り付ける。 ※千切りにしておいた青紫蘇を添えてら出来上がり! |
南蛮漬けは、冷蔵庫で1週間くらいもちますので、週末にたくさん作って、毎日楽しんでくださいね。
[薬膳ママからひと言]夏は「心」に負担がかかりやすいので、いつもより少し早起きして、気持ちをゆったりとして過ごしてください。ぷりぷり怒っちゃだめですよ。夏バテしないで乗りきってくださいね。
ママの
「おばんざい屋」編はこちら。
小池美枝=写真・文