平和な時代に合わせて路線を変更
しかし、1960年代に入ると売り上げの30%近くを占めていた軍への納入がゼロに。会社は大きな変革が求められていた。
カヌーガイドの経験があるほどのアウトドアマンであった、2代目社長のシェルダン・コールマン・シニアは、キャンピング市場への進出を図る。
「プラスチック製ライナーを応用した、キャンプ用クーラーとジャグを製品化。テントや寝袋もラインナップに組み込みました」。
売り上げのV字回復こそ叶わなかったが、危機を脱出するには十分の方向転換であり、その後の方針もこの時点で決まったといえる。
日本に本格進出したのは1976年。支社を開設し、本格的なアウトドアギアを紹介した。90年代には日本にもオートキャンプのブームが訪れ、一気に認知度がアップ。
以来、世界有数の総合アウトドアメーカーとして知られるようになり、コールマン製のランタンはキャンパーの定番でありシンボルとなった。
さて、ここまで読んでお分かりの通り、コールマンが信頼され続けるのは、長い歴史と時流を掴むセンスのおかげ。幅広い層から支持されるワールドワイドな名ブランドの逸品。ぜひ手に取ってほしいものだ。
次回はそんなコールマンの代表的なランタン「ワンマントルランタン286A」について、メンテナンスとより良い使い方について山中さんの解説の元、掘り下げていこう。
平安名栄一=撮影(インタビュー写真)※資料写真はコールマン提供 金井幸男=取材・文