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2018.06.19

ライフ

東京にはない豊かな生活。旅行業から一転、39歳で農家になった男



連載「37.5歳の人生スナップ」
もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。


「37.5歳の人生スナップ」を最初から読む


夏は毎朝4時半に起床。農業中心の生活に至るまで


真鍋 豪さん(45歳)の夏の1日は、朝4時半に始まる。夏は夜明けと重なる時間帯だが、まだひんやりと澄んだ空気の中で、野菜の植え付け、収穫などの作業を黙々とこなす。昼休みをはさんで、介護している母がデイサービスから戻る17時頃まで、野菜づくりを続ける。

家に戻っても仕事は終わらない。収穫物の出荷準備を夜中まで行うこともざらで、労働時間は1日15時間以上。冬場の休みや雨天時を除けば、基本的には毎日、農業中心の生活だ。農作業で上腕の筋肉はたくましく盛り上がり、肌は浅黒く日焼けしている。

真鍋さんは、神奈川県相模原市の青根で少量多品種の「真鍋流農園」を営んでいる。農薬や化学肥料をいっさい使用しない有機農業だ。



真鍋さんが暮らす青根は、山梨県との県境に位置し、標高400メートル前後の山間部に広がる山里だ。静かな集落の人口はおよそ500人程度。付近にはキツネや鹿はおろか、熊まで出現する。

「一番近いスーパーでも、車で20分かかります。東京だったらありえませんよね? でも、慣れっていうのはおそろしいもので、今では別に不便とも感じない」(真鍋さん、以下同)。



真鍋さんは5年前まで東京・中野で都会の暮らしを満喫していた。仕事は旅行業だ。では、なぜ農業を? そこには2つの大きな出来事があった。



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