- トップ
- ライフ
- 70歳でショートボードに乗るということ 〜A 70 Year Old Surfer〜
70歳でショートボードに乗るということ 〜A 70 Year Old Surfer〜
ただくつろぐだけでも気持ち良い時間を過ごせ、サーフィンをした瞬間に人生は大きく変わってしまう。ひとつのシーンからそんな海の魅力を発見していくコラム。
「SEAWARD TRIP」を最初から読む今回は「A 70 Year Old Surfer」
人生100年時代といわれる今、70歳の人物像とはどのようなものか。OC世代の多くは、父親がその年齢に当たるかもしれない。では父親が、ショートボードで波の上を疾走する姿を想像できるだろうか。
日本人で最初にプロサーファーとなった川井幹雄さんは、今年古希を迎えた人物。それでいて、先頃発売された映像作品『ストーン ブレイク ドリームス』には、日本だけでなく、冬のハワイを果敢に攻める川井さんの姿が収録されている。
70歳を迎えて見せるそのサーフスタイルは、おそらく海の近くに住んでいる人でも実現は難しい。理想のサーフィンを常に意識し、生活のすべてをサーフィンに捧げる必要があるためで、その姿は求道者といえる。
だが、映像の中で、ハワイの波を見て頬を緩める様子は10代のサーフキッズと変わらない。なるほど、“求道”などと難しいことではないのだろう。良い波に乗り続けたい情熱に素直でいたら今を迎えただけ、ということなのである。
川井幹雄さんは千葉・鴨川をホームにするサーフレジェンド。16歳でサーフィンと出合い、1966年に地元鴨川で開催された第1回全日本サーフィン選手権で優勝。’70年代までに6度の王座を獲得した。その川井さんにフォーカスした作品が『ストーン ブレイク ドリームス』。’78年に制作された作品『ストーン ブレイク』のリメイクで、新旧の映像をミックスしながら編集されている。
ペドロ・ゴメス=写真 小山内 隆=編集・文