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2018.06.04

ライフ

東京―長野で二拠点生活する元広告マンが手に入れた「理想の働き方」



連載「37.5歳の人生スナップ」
もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。


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長野の拠点は八ヶ岳の麓にある絶景コワーキングスペース


東京・新宿から中央本線特急に揺られること2時間あまり。JR富士見駅で下車し、八ヶ岳の麓までクルマを少し走らせると、南アルプス、北アルプス、富士山という雄大なパノラマビューが目の前に広がる。

空気は澄みわたり、聞こえてくるのは鳥のさえずりだけ。「まるでアメリカやカナダにいるようだ……」と息を呑んだ。津田賀央さん(39歳)が運営するコワーキングスペース「富士見 森のオフィス」は、そんな場所にある。

正直にいうと、実際にここへ訪れるまでは「なぜ八ヶ岳の麓でコワーキングスペースなのか?」と疑問に思っていた。ニーズは多くないのでは、と感じたのだ。しかし、「森のオフィス」を見て、すぐに納得がいった。



ロケーションの良さもさることながら、林間学校用保養施設をフルリノベーションした建物は、木造ならではの味わいと、窓の外に広がる色濃い緑などによって、都会では絶対に手にすることのできない圧倒的な魅力がある。東京からわざわざやって来る人たちがいるのもうなずける。



地方に移住したいが、仕事の事情から都会での生活も捨てられない。そんな理由から「二拠点生活」を選ぶ生き方が注目を集めている。

津田さんもそのひとりだ。火曜日と水曜日は東京で生活して打ち合わせなどをこなし、木曜日から月曜日は拠点の長野県富士見町で過ごす。

「富士見町への移住を決めたのは35歳のときでした。妻には自然のなかで子育てをしたいという希望があり、僕はリモートワークなどの新しい働き方に興味があった。富士見町は小さいときに過ごしたアメリカの風景と似ていて、なんともいえない懐かしさを感じたんです」(津田さん、以下同)。



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