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フロントウインドウも畳める
シトロエン メアリ




シトロエンから1968年に登場し、前述のジョリーとともにビーチカーの代表車種とされるモデルがMéhari(メアリ)だ。

ベースは「こうもり傘に4つの車輪をつけた自動車」というコンセプトから生まれたシトロエンの2CV。農道を走ってもシートの上の卵が割れないくらい乗り心地が良いと言われる、20世紀を代表するフランスの大衆車だ。メアリはこの「2CV」のメカニズムを応用して誕生した。



ジョリーと違い、メアリは悪路走行を得意とするユニークな車だ。また、当時としては珍しい樹脂製ボディを持ち、錆びないことからリゾート地で重宝された。なにしろ、砂浜を走って室内が汚れたとしても、ホースで水をかけて洗い流すだけでいいのだ。

車体には屋根や窓もなく、フロントウインドウも畳むことが可能。水着のままフルオープンでビーチサイドを走ったら、さぞかし気持ち良かったに違いない。

 

最高に気持ちいいビーチカーが、現代に蘇る!


今回紹介した2台は、50年以上前に登場したヒストリックカー。実用面での不都合は多分にあるだろう。しかし実は今、フィアットやシトロエンから現代版のジョリーやメアリが登場しているという。

海のある街の自宅からビーチやお気に入りのカフェまで、気持ち良く晴れた日の足としてこんな車を転がせたら、それだけで休日がバカンスに変わりそうだ。

次回はそんな最新のビーチカーを紹介しよう。



真矢謙三=文 曽我部健(清談社)=編集 FCA Italy S.p.A、Automobiles Citroën、The Hertz Corporation、2CV Mehari Factory=写真提供

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