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2019.07.18

たべる

四谷荒木町の燻製酒場で、看板娘に心をやさしくスモークされた


看板娘という名の愉悦 Vol.74
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。


浅草、向島、神楽坂、新橋……。これら、料亭と芸妓屋が集まる繁華街は「花街」と呼ばれ、大いに賑わってきた。四谷荒木町もそのひとつで、大正時代の最盛期には252名の芸妓が在籍していたという。

今回訪れたのは、そんな風情が残る街に佇む燻製酒場。最寄り駅の東京メトロ丸ノ内線・四谷三丁目駅から徒歩3分で到着した。

外観 「煙人」と書いて「エンジン」と読む。


燻製酒場ゆえに煙る人。見事なネーミングセンスだ。店内に入るとママ、常連客、看板娘が楽しそうに談笑していた。

内観 里子ママは沖縄県名護市の出身。


そして、近所に住んでいるというカウンターの女性客は、このたび結婚を機に慣れ親しんだ荒木町から離れるという。あら、おめでとうございます。

お相手の素性を尋ねると「ただのサラリーマンです」。そこへ、ママから「サラリーマンが一番偉いのよ。『ただの』なんて言わないの」と愛のダメ出し。

さて、1杯目は何をいただこうか。ママに聞くと「果実酒はいかが?」。

メニュー 丁寧に仕込んだ自家製果実酒。


一番美味しく漬かったタイミングで出すため、現在のオススメはこの4種類だ。左下のチラシは「荒木町の流し しんたろう」と「歌う漫画家ちえ」の名コンビ。

果実酒 カウンターの上には出番を待つ選手たち。


「今は外でプラムを干してるの。あれは絶対に美味しいと思う」

プラム 野趣あふれる色と形。


というわけで、「年中みかん酒のソーダ割り」(700円)を注文した。みかんは静岡産、運んできたのは東京産の看板娘。



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