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2019.06.30

世界の“国民車”フォルクスワーゲン・ゴルフの45年。初代から最新まで、どれが好き?

取り回しに苦労しないコンパクトなボディをもち、主な用途は通勤や買い物、子供の送り迎え。価格が手頃で燃費もいい車がいい。しかし、せっかくマイカーを手に入れるなら、ちょっとした「乗る楽しみ」も欲しいのが男心。

そんなわがままを叶えてくれるコンパクトカーが存在する。



ヨーロッパでもっとも競争の激しいCセグメントのベンチマークとされるモデルであり、そしてヨーロッパの全車種でいちばん売れている車と言われるハッチバック型のコンパクトカー。それがフォルクスワーゲン「ゴルフ」だ。

車は自分のライフスタイルを表現するものでもある。そういった意味で「ゴルフ」はひと味違うコンパクトカーに乗りたい人に最適なのだ。

 

初代ゴルフはビートルの後継モデルとして誕生した


初代のデビューは1974年。今年ちょうど誕生45周年を迎えた。以来、今日までに販売された台数は3500万台超に上る。この数字を平均すると、世界中で誰かが約40秒に1台、「ゴルフ」を購入している計算だ。日本でも累計85万台以上が輸入・販売されている。

現行型は2013年に発売された7代目、いわゆる「ゴルフⅦ」。そこへいたる7世代の歴代モデルのなかでも、やはり初代の「ゴルフI」は特別な車だ。

自動車の世界に名車と呼ばれる車は数多いが、初代の「ゴルフI」は間違いなくそのうちの一台だろう。


「フォルクスワーゲン」はドイツ語で「国民車」を意味し、そのルーツは戦前に事実上の国策企業として設立された自動車メーカーにある。

当時、アドルフ・ヒトラーは「国民車(フォルクスワーゲン)」計画を提唱し、それに従い、かの有名なフェルディナント・ポルシェが先進的なメカニズムをもつ流線型の小型車を開発した。この試作車が、のちのフォルクスワーゲン「タイプⅠ」。累計生産台数約2153万台を記録した伝説の「ビートル」のことである。



しかし、日本が高度経済成長期を迎えた1960年代にはその設計も古いものとなり、後継車種が求められるようになる。つまり、「ゴルフI」は「ビートル」の後継モデルとして誕生したのだ。

デザインを担当したのは、アルファロメオ「ジュリア スプリントGT」やフィアット「850スパイダー」、いすゞ「117クーペ」などの名車を手掛けた天才デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロ。



「ビートル」と対照的に角張ったボディは、シンプルでありながら実に合理的で、コンパクトな車体のわりに室内には十分なスペースが確保されていた。

なによりも「走る」「曲がる」「停まる」といった車の基本性能が高く、燃費までいいのが「ゴルフI」の凄いところだ。自動車評論家の故・徳大寺有恒氏は、その著書で「ゴルフI」について、「ぼくは人生であんなにすごい車を経験したことはそれまでなかったし、おそらく、もう将来もないんじゃないかと思う」と書いているほどである。



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