ちょっと危険なところも魅力! ボトルデザインの秘密は「禁酒法」にアリ
それにしても「アガヴェ」の棚には、うっとり見とれてしまうほど美しくもユニークなボトルが並んでいる。瓶の中にサボテンがデザインされたものやヨーロッパの香水瓶を思わせるボトルなど、その形はさまざまだ。
「デ・ニーロは映画『アンタッチャブル』で、禁酒法時代に酒の密輸で財を成したシカゴのギャングのボス役を演じていましたが、実はテキーラボトルのユニークな形には、禁酒法時代の名残があるんです」。
……と言いいますと?
「細長いボトルや陶器のボトルがありますが、当時、これはメキシコからアメリカへ密輸する際にコートの袖にしのばせたり、酒であることを隠すための工夫だったんですよ」。
オモシロイ! そんなちょっとアウトローな感じがまたツボ!
「また、メキシコには死者の魂がこの世に戻ってくるといわれる『死者の日』があります。毎年11月1日と2日がそうで、日本のお盆みたいなものですね。ただ、日本と違ってお祭りのような雰囲気で、公園には露店も並びます。このお祭り騒ぎで使われるのが、デコレーションされたドクロの飾り。
これは死者を恐れるのではなく、死者とともにお酒を飲んで楽しく笑おう、という考え方によるもの。ちなみに2日目は大人の死者の魂が戻ってくるため、お供え物は酒がメイン。だからテキーラには、昔から死の象徴であるドクロをモチーフにしたボトルが多いんです」。
たしかにドクロなのにおどろおどろしい雰囲気はない。なんとなく明るくポップなドクロが多いのは、そうしたメキシコの死生観に関係があったのだ。
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