看板娘という名の愉悦 Vol.70好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
渋谷と吉祥寺を結ぶ京王井の頭線。そのちょうど真ん中にあるのが永福町駅だ。なんとも縁起のいい町名は、当地にある永福寺に由来する。
そんな街にも看板娘はいた。
北口を出てメガネスーパーと大勝軒に挟まれた道を進む。急行が停まるうえに、新宿や下北沢といった人気タウンにもアクセスしやすいとあって、家賃相場もそこそこ高い。
田舎の両親が見たら腰を抜かす金額。駅から歩くこと3分。「STAND(スタンド)永福町店」に着いた。2012年にオープンしたスタンドバーだ。
看板娘の姿も見える。店内は狭いがお酒の種類は充実している。
ワイン、ウイスキー、カクテル、ビール。看板娘が好んで飲むというイタリアの白ワイン、「カンティネ・ラヴォラータ」(600円)を注文した。
所作が本気のバーテンダーっぽい。「私は元々このお店の常連だったんですが、白ワインは当時よく飲んでいました。お酒は弱いけど、ワインなら5、6杯いけます」
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