看板娘という名の愉悦 Vol.68好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
飲食店にとって店名は重要だ。これが刺さると印象はずいぶんアップする。
例えば、「ワイルドミーちゃん」。最高ではないか。一刻も早く店名の由来を知りたい。取材班は大井町へと急いだ。
大井町駅にはJR、大井町線、りんかい線が乗り入れ。駅からすぐの場所に、東小路、平和小路、すずらん通りというディープな飲み屋街が広がっている。
東小路の入り口。この狭い路地の中に「ワイルドミーちゃん」を発見。
そろそろと階段を下りる。猫のラベルのドイツワインのボトルに花が活けられていた。あとになってわかるが、これも店名の由来にまつわるヒントだ。
「ゾンメラッヒャー・ジルヴァーナ」という辛口の白ワインの空き瓶。店に入って、さっそく看板娘にご挨拶。おつまみ付きの「ちょい飲みセット」を注文し、お酒はホワイトホースのハイボールにした。
強炭酸水で割られたハイボールがサーバーから出る。角でもブラックニッカでもなく、ホワイトホースであるというのもこだわり。樽の中でまろやかに熟成されるという。
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