看板娘、登場。
「お待たせしました〜」平方のぞみさん(28歳)。ここ、「ワイルドミーちゃん」の店長だ。
フードメニューはこちら。いかにも本日のおすすめ的な「まぐろの角煮」も追加でいただこう。
計1150円の美しい世界。日替わりのおつまみは左から、ポテサラ、サラミ、ナムルという布陣。なお、この店は今年3月にオープンしたばかりだという。そこに至る経緯を聞いた。
「この建物は実家です。1階は祖父母の代から続くお寿司屋さんで、2階、3階は住居。地下はスナックとして営業していました。でも、長年やっていたスナックを閉めることになり、母が私に『なんかお店やらない?』と言ってきたんです」
1階は焼き寿司と穴子の笹焼きが有名な「金井寿司」。憧れだったアパレルの世界で働いていたのぞみさん。当初、仕事を辞める気はさらさらなかった。しかし、自分で理想の店を作る面白さには抗えない。
ここでお父さんが様子を見に来た。上下で働く父と娘という構造も面白い。立ち飲みバーと寿司屋の父娘はしご酒もオツである。なお、先ほど食べた「まぐろの角煮」はお父さんがブロックで仕入れたまぐろで作ったものだった。
「東小路のお店はほとんどトイレがなくて、公衆トイレを使うのが一般的。うちはきれいなトイレがあるのが自慢で、1階のお寿司屋さんと兼用です」
それにしても、お隣は今や飛ぶ鳥を落とす勢いの「晩杯屋」。
古き良き「晩杯屋」の雰囲気を残す貴重な店。また、すぐ近くには肉屋が営む人気立ち飲み店、「肉のまえかわ」もある。
夕方から外に人があふれるほどの盛況ぶり。のぞみさん、よくこの場所で立ち飲み屋をやろうと思いましたね。
「地元だから友達の溜まり場が作れるかもって思ったんです。あと、若い人はチェーン店の飲み屋さんに行っちゃうから、そういう人たちも取り込めればいいなと」
ほぼ居抜きなので開店資金も安く済む。かくして、約10年続いたスナックはのぞみさんの感性がほとばしる立ち飲みバーへと変貌を遂げた。
スナック時代の内観。 3/3