職場の20代がわからないVol.16
30代~40代のビジネスパーソンは「個を活かしつつ、組織を強くする」というマネジメント課題に直面している。ときに先輩から梯子を外され、ときに同期から出し抜かれ、ときに経営陣の方針に戸惑わされる。しかし、最も自分の力不足を感じるのは、「後輩の育成」ではないでしょうか。20代の会社の若造に「もう辞めます」「やる気がでません」「僕らの世代とは違うんで」と言われてしまったときに、あなたならどうしますか。ものわかりのいい上司になりたいのに、なれない。そんなジレンマを解消するために、人材と組織のプロフェッショナルである曽和利光氏から「40代が20代と付き合うときの心得」を教えてもらいます。
「職場の20代がわからない」を最初から読む 「マンネリが嫌」というのはウソ。人は慣れ親しんだことに囲まれていたい
今回のテーマは「相性」です。人事コンサルティングをさまざまな組織でしていると、常に出てくるのが「仕事のマンネリ化」という言葉です。人は新しいことをしていたい、同じことを繰り返すと飽きてきて別のことをしたくなる……ということです。
確かにそういう側面が多少はあることは事実ですが、本当にみんな、新しいことばかりに手を出したいと思っているのでしょうか。むしろ、組織分析を奥深く進めていくと、表面的に言っていることとは違って、保守的な人間の本性が出てきます。そう、人は新しいことなんてしたくなく、なるべく慣れ親しんだことに囲まれているほうが快適なのです。コンフォートゾーン(自分にとって快適な領域)にいることを望む人のほうが多いのです。
それが証拠に、人は旅行から帰ると「やっぱり家が一番ね」と言いますし、毎晩違う店に行くのではなく、なじみのスナックに足を向けるものです。お笑いでも、吉本新喜劇に代表されるように、マンネリ化されたものをむしろ期待しながら「来るぞ、来るぞ……来た!笑」と満足していますよね。マンネリは愛されこそすれ、嫌なことではないのです。
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