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「何をやるのではなく、誰とやるか」が重要だということに原因がある


それなのに、なぜ人は「マンネリが嫌」などと言うのでしょうか。これも人事コンサルティング「あるある」なのですが、結局、「何をやるかよりも、誰とやるか」が重要だということに原因があることが大変多いです。やっていることなどは、マンネリでも別に問題はないのです。それよりも、「ずっとこの人とチームを組んで(あるいは上司部下の関係で)仕事をし続けるのが嫌だ」ということが本当の気持ちなのです。ただ「この人とは一緒に仕事をしたくない」とはなかなか言えないので、「仕事がマンネリ」「だから変えてほしい」と言ってしまうのです。

つまり、マンネリと言っているのは、やっている仕事に対してではなく、一緒に仕事をしている人とのコミュニケーションについて言っている、嫌な人との不快なコミュニケーションが続くことについて言っているわけです。

仏教の四苦八苦のひとつに「怨憎会苦」(おんぞうえく)というものがあります。「憎たらしい嫌なやつと顔を合わさなければならない苦しみ」というような意味ですが、苦しみの代表である四苦八苦に並べられるほど、「嫌な人と過ごす」のは人生の大きな苦しみなのです。

 

人の配置を決めるときには、能力や志向でなく、相性でマッチングをする


「怨憎会苦」を感じるような状況が発生するのは、なぜか。多くの会社や職場では、誰に何をさせるのかという人の配置を、能力やスキル、本人の志向や価値観だけを中心に考えて行っているからです。配置の担当者からすれば「できそうな人にやらせる」「やりたい人にやらせる」というのは当たり前の話で、何ら非難することはできません。

しかしながら、能力や志向はもちろん大切なのですが、(特に日本の)多くの人にとって、結局一番大事なのは上述のように「何をやるかよりも、誰とやるか」、つまり一緒に働く仲間や上司との相性なのです。

逆からみると、結局人は人間関係が嫌になって会社を辞めるのだということが、いろいろな転職理由の調査などからもよくわかります。人は仕事を辞めるのではなく、嫌な上司の下を去るのです。相性の良いチームにさえ置いてあげれば、表題のような「マンネリで嫌だ」という言葉にはならないはずです。相性の悪い人と日々繰り返される嫌なコミュニケーションが「嫌なマンネリ」であり、相性の良い人と繰り返される快適なコミュニケーションは、むしろコンフォートゾーンでしょう。



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