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「良い相性」には、「同質」と「補完」の2種類がある


それでは、「良い相性」とはなんでしょうか。これは、ふたつのパターンがあります。ひとつは「同質」、つまり似た者同士ということです。もうひとつは「補完」、つまり異なった性格ではあるが、お互いに足りないところを補い合っている関係です。

前者の「同質」はわかりやすいと思います。さまざまな性格の側面が似ていて、いろいろな場面ごとに考えることや行うことが似ている。人間は、類似性効果といって、自分に似ている人に自然と好感を抱くものですから、「同質」関係にある人同士の仲が良いのは容易に理解できることでしょう。似た者同士は、意気投合するスピードも早いため、会社に入ったばかりの新入社員(新卒でも中途でも)や、退職率が問題になるほど職場の雰囲気が荒れていて、風土改革が急を要するような場合には、できるだけこの「同質」関係を組織の至るところに作るようにすべきでしょう。

ただ、「同質」関係にはひとつ問題があり、それがまさに本来の意味での「マンネリ」化です。「同質」関係は当人達には心地良いのですが、経営側から見た際には、同じような人の集まりで、似たような意見しか出ず、新しいことが出ない可能性もあるチームです(ちなみに、このように本当の「マンネリ化」は社員本人よりも、経営側にとって問題視されることが多い)。ですので、創造性が必要な場面では適さないこともあります。

 

異質ではあるが「補完」する相性が、創造性ある職場の理想形


そこを補うのが、もうひとつの「良い相性」である「補完」関係です。例えば、信念が強く、目標に対する執着心が強いリーダーに対して、受容性が高く、リーダーの方針をしっかりと受け止めて、それにきちんと従おうとするメンバーは、補完関係のあると言って良いでしょう。

しかし、「補完」関係は、そうは言っても異質ではあるので、同質同士の人間関係よりもお互いを分かりあい、仲良くなるのに時間がかかります。実感値で言えば、少なくとも半年ぐらいは誤解も続き、摩擦も絶えず、「なんなんだあいつは」というような危機を迎えることもありがちです。

ところが、ある程度のコミュニケーションコストをかけて、相互理解が完成した後には、ベストパートナーになる可能性の高い関係です。しかも、異質な人同士ですから、意見や持っている知識・情報なども異なり、その異なるものがぶつかり合うことで、新しいものが生まれやすくなります。つまり、創造性の高いチームができる可能性があるということです。もし、退職が激増しているなどの喫緊の課題がなく、しばらくの間の摩擦は許容できるような状況であるのであれば、この「異質・補完」という関係が、創造性を必要とされることが多いような現代の職場においてはある種の理想かもしれません。



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