セイラーたるもの、環境汚染の問題にも敏感でなければならない。
今回は大海原を駆け巡ったヨットの廃棄素材から便利な実用品へと見事に生まれ変わった、ロマンチックで強度があり、そして環境に優しいまさに海の漢なアイテムをお届け。
海上で酷使されたセイルが、軽くて強いトートバッグに生まれ変わる
大型のレーシングヨットのセイルは、ケブラー繊維、カーボン、アラミドといった軽くて強度のある素材が使用されている。
そういった素材も、強い風によって大型レーシングヨットの艇体を引っ張るため、長年使用すればベストな形状から変化してしまい、オリジナルのパフォーマンスが発揮できなくなる。そうなれば、使用されなくなり、あとは廃棄を待つばかり。
もともとのケブラー繊維やカーボン素材は、軽量かつ堅牢であり、バッグ用の素材としても最適なもの。海上で使われていたものが、生まれ変わって今度は街で使われる。その再生した姿が、このトートバッグなのである。
使用済みのセイルなので、すべてが一点モノで、色や柄、風合いもさまざま。全体のサイズ、ベースとなる生地、持ち手の色とサイズなど、オーダーメイドできる。
アップサイクルのセイルファニチャー
上で紹介したトートバックと同様、使用済みのヨット用セイルを使ったアイテム。製作しているのは、牛追い祭りで知られたパンプローナのアウトドア用家具メーカー、デュベラス社だ。
このセイルクロスをアップサイクルした家具のデザイナーはセイラーでもあり、細部にセーリングからのアイデアやテクニックが盛り込まれている。
具体的には、セイル用クロスの特性や性能など、もともとのセイルメーカーが培ってきたテクノロジーを活かしながら家具デザインを考えているのだという。
すべての製品には、セイルを使用していたボートの艇名や所属しているホームポートの名前などが記されたラベルが縫い込まれている。
環境に優しい、ヨット由来のリサイクルアイテムたち。セイラーを目指すなら、知っておいて損はないぞ!
鈴木 勝、中村剛司(舵社)、山岸重彦(舵社)、上仲正寿、瀧 学=写真