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2018.06.23

ライフ

チャーター、共同オーナー、木造ヨット……「船を持つ」 いろいろな可能性

ティワルや電動ボートを楽しんだら、次はヨットで海に出てみよう。

でも自分でヨットを持つなんて無理? いやいや、その第一歩として楽しめる船との付き合い方、あるんです! その3つの方法をご紹介。 

 

船長やガイドも同行、大型のボートをチャーターする
「チャーターヨット」


チャーターヨットでは、大型のヨットやパワーボートなどを半日とか、1日単位で貸し切りにし、クルージングや島巡りなどに出かけることができる。では、レンタルボートとどこが異なるのか。

明確に線引きされているわけではないが、レンタルボートの場合は、小型ボートを3時間、6時間といった時間制でレンタルするケースが多い。チャーターでの多くは、キャプテンやガイドが同行し、ビギナーにはセーリングの手ほどきまでしてくれる。

最近では、沖縄や瀬戸内海などでのチャーターサービスが増えている。



チャートハウスは、沖縄の宜野湾マリーナがホームポート。チャーターに使用するのはアメリカ製の40フィート艇。シッカリとした造りの艇で、ヨットレースに参加できるほど船脚も速いので、きれいな海で知られた座間味島やチービシ環礁など、ちょっと遠くまでクルーズすることも十分にできる。



チャートハウスの場合、ボートの定員である12名までなら同じ料金で依頼できるので、グループでチャーターするのも楽しいだろう。



もちろんパートナーと記念に、というケースも多い。写真は、実際にチャーターしているときのもの。セーリングの手ほどきを受け舵を握り、まるでオーナーのようだ。


「沖縄チャーターヨット/料金プラン」
半日セーリング/約4時間/2万9000円
1日セーリング/約8時間/5万9000円
*1泊2日、2泊3日など、対応可能。
*すべて、貸し切り、ガイド+保険料など、含む。
*係留マリーナ=宜野湾マリーナ/L2-58バース

[問い合わせ]
チャートハウス http://charthouse.ti-da.net/


 

仲間で共同購入すれば全員がオーナーになれる
「共同オーナー」


例えば写真のヨットは、全長32フィートだから、およそ10mちょっとで、定員が12名。手慣れたセイラーだけで、日帰りクルージングに出航しようとしても、安全で確実なセーリングを考えると、最低でも5名ないし6名は乗艇してほしいところである。



というわけで、ヨットの場合、海好き船好きの複数の仲間が集まり共同で艇を購入し、全員がオーナー兼クルー、というケースがとても多いのだ。

共同オーナーで艇を持てば、マリーナの保管、燃料、メンテナンス、船検、保険など、かかる費用すべて人数で割った数字だけの負担。あとは、スケジュール管理など、気持ち良くセーリングをするための仕組みだけを考えればよい。

写真の艇種は、Deuler-32。2009年にドイツで建造され、エンジンの使用時間が400時間。肝心の価格は、1200万円。仮に6名のオーナーで購入すると、1名分が200万円。ちょっとした、中古自動車並みの負担でオーナーになれる。



Deuler-32のキャビン。なかなかの居住性で、ゆったりと過ごすことができる。手前左にはキッチン、右には海図を広げたりするためのテーブルが備えられている。もちろん、マリントイレも完備。



こちらは1996年製の30フィート艇で、販売価格は300万円。ただし、中古艇の場合、後々のメンテナンスをキチンと考えておかなければならない。信頼の置けるディーラーで、ジックリと選ぶことをおすすめする。

[問い合わせ]
ハナ コーポレーション www.hana-marine.jp

 

ベテランセイラーだけに許された、究極の海遊び。フルレストアの木造艇
「木造ヨット」


新米セイラー諸君には、そう簡単にマネのできるボート遊びの方法ではないが、日本でも、こんな遊び方を実践しているベテランセイラーがいる。東大ヨット部出身の北山洋一さんは、外洋クルーザー歴が50年以上。

ある日、北山さんが、三重県のヨットハーバーで見つけたのは、朽ちた状態で浮いていた木造艇。数々の外洋ヨットを手掛けてきたヨットデザイナーの渡辺修治さんが、自身のためにデザインし、1964年に進水させ、幾多の外洋レースで好成績を挙げた名艇であった。

「このまま放置すると沈んでしまうと直感しました。もともと木造艇を所有し、乗っていましたから、突然、レストアして乗りたい、という気持ちが強く湧いてきたんです」。きれいに蘇らせた船体は、50年もの船齢を重ねているとは、とても思えない。



紀伊半島の濃い緑を背景に、滑るように走っていく。マスト関係やセイルなどは、現代のものに変えられているが、全体の雰囲気は、当時の面影を漂わせるているという。それにしても、素晴らしい状態で維持されている。



細部まで徹底してレストアされていることがわかる、美しいキャビン内部。レストアを担当した工房に運び込まれたあと、すべての備品を丁寧に取り外し、修復を重ねながらほぼオリジナルの状態に戻されたのだという。



風が吹け上がれば、鋭く波を切り、前へ前へとバウ(船首)を向けたがるではないか。そんなセーリング性能を感じさせる木造艇は、きれいな引き波を残しながら、海面を滑っていき、堂々とした風格さえ感じさせる。



ホームポートに、静かに浮かべられた木造艇。長い間、維持していくには、いろいろな意味で手間とコストがかかるが、海面に映る丁寧にニス塗りされた艇体の木肌の色を眺めていると、苦労も忘れてしまうのだという。

 

鈴木 勝、中村剛司(舵社)、山岸重彦(舵社)、上仲正寿、瀧 学=写真 ヤマハ発動機=写真提供、梶本博司=イラストレーター

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