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格闘家の引退後の人生は、現役時代に巨額の富を得た一部の人間を除けば、決して華やかなものではない。現役時代に第一線で活躍した人間ですら、引退後には、それまで培ってきた自信を喪失してしまう者も多い。だが、大山は、格闘家の持つアスリートとしての資質をもっと次のキャリアに生かすべきだという。

「格闘家が強いのは、身体だけじゃない。戦う気持ちや折れない心は、ビジネスの世界でも絶対に活かせるはず。僕がパイオニアになって、格闘家のセカンドキャリアの道を切り開いていきたい」。

若い世代のための道をつくりたい


今、大山が主宰するファイトネスの講師には、格闘技の日本チャンピオンなど、何人かの現役選手も名を連ねている。

「現役の時から引退後のキャリアをイメージしておくことができれば、安心して競技に打ち込むことができるようになる。僕と同じような失敗を、若い世代にはしてもらいたくない。そのための道を作れたら最高ですね」。

5月下旬の取材日、経営者ファイトネスの終了後に大山を参加者が囲んで記念撮影(筆者撮影)


柔道の世界では、古賀稔彦のように強くはなれなかった。総合格闘技の世界でも、桜庭和志のようなヒーローにはなれなかった。だが、何度も負け、何度も苦渋を味わいながら立ち上がり続けてきた格闘家は、引退してフィールドを変えた今、憧れだったヒーローたちに勝るとも劣らないほど、強い輝きを放っている。

(文中敬称略)

瀬川 泰祐:東洋経済 記者
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記事提供:東洋経済ONLINE

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