次世代の「魔法の絨毯」
シトロエンと言えばDSやGS、BXなどに代表される独特の足回り「ハイドロニューマチックサスペンション」を思い出す人もいるかもしれない。
魔法の絨毯と評される極上の乗り心地を提供してくれる反面、機構が複雑で、故障の原因ともなった。
その登場からから約60年が経ち、シトロエンは新たな“魔法の絨毯”を開発した。それが「PHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)ダンパー」だ。
シトロエンは2019年に導入された「C5エアクロス」からこのPHCを採用するようになったが、主にダンパーだけで“ゆるフワ”な乗り心地を実現している。
ダンパーだけだから本来同じグループPSAのプジョーやDSにも装備しておかしくないのだが、一向にその気配は見えない。あくまでも、かつてハイドロを生み出した“シトロエンの個性”のために供されるようだ。
“ゆるフワ”な乗り心地のためのシートもシトロエンオリジナル。微振動を吸収してくれる。
C4は全車に標準でヘッドアップディスプレイが備わる。メーターに何でもかんでも情報を詰め込まず、その上のディスプレイにも分散させるというこの考え方もまだまだ少数派だが、視認性の向上という点では理にかなっている。
ラゲージ容量は380L、リアシートを倒すと最大1250L。フロアボードの高さは2段階で調節できる。
さらにドライブ中に何もすることがない助手席の乗員のために、愛用しているタブレットを固定するスタンドまで用意されている。
後席向けのディスプレイはミニバンなどによくあるが、助手席向けに用意している車は少ない。この方法なら、助手席乗員のためだけにわざわざディスプレイを設けるよりもコストがかからないし(車両本体価格を上げなくていいし)、助手席に座る人にとっても、いつものタブレットだから扱いやすいというメリットもある。
助手席に自分のタブレット端末を固定できるスタンド。グローブボックスに専用収納スペースまで用意されている。
衝突被害軽減ブレーキに再発進可能なアクティブクルーズコントロール、ハイ/ロービーム自動切替機能など安全機能ももちろん充実。ACCで走行中に車線内を維持するようアシスト機能が備わるが、車線内の右寄りか中央かなど位置を任意で調整できる。
こんな風に、C4はやっぱりシトロエンの車だ。独創的というか変わり者というか、シトロエンというブランドイメージが隅々まで表現されている。
SUV真っ盛りの昨今、王道のSUVもいいけれど、人と少し違う車を狙うなら、このシトロエンC4はどうだろう。