「オーシャンズ的、2022年ヒット予測」とは…… 資産を増やすには、「収入アップ」「今ある資産を運用」「余分な支出を減らす」といった3つの方法がある。
なかでも、ちょっとの努力で誰でもできるのが「余分な支出を減らす」=“節約”という部分。
そこで、年間1000以上の家計相談を受けるファイナンシャルプランナーの秋山芳生さんに、2022年のトレンドを汲んだ2つの節約術を教えてもらった。
語り手は…… 秋山芳生●ファイナンシャルプランナー。(株)マネーフォワードが提供する家計簿アプリ「マネーフォワードME」の事業責任者。お金の相談窓口「ミライトーク」を立ち上げる。「FPよしおさんチャンネル」で、家計改善、ライフプランニング、資産形成などの情報配信も行う。
【2022年にやるべき節約術はコレ!】
①貯蓄型保険に入っているなら辞める
②楽天モバイルとマイネオをデュアルSIMでダブル利用
[節約①]貯蓄型保険は不要。辞めるジャッジを今年こそ!
保険を見直さねば……と、常々感じている人は多いだろう。しかし、自動引き落としになっていることが多く、見直しのきっかけを掴みにくいのが現状だ。
生命保険文化センターが昨年発表した2021年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、2021年では世帯の年間払い込み保険料は平均37.1万円だった。2012年は41.6万円だったことを考えると減ってはいるが、まだまだ高額である。
そもそも生命保険には、亡くなってしまったときに遺族に支払われる死亡保険と、病気や怪我をした場合の医療保険、老後に備えた貯蓄型保険がある。
なかでも、筆者が
最も“不要”と考えるのは、保険料を釣り上げている割に、中途半端な内容になっている貯蓄型保険だ。
貯蓄型保険は、運用をドルなどの“外貨建て”にするタイプが主流となっている。
「銀行に預金しても増えないけど、この保険なら貯蓄性もあって増やせるし、保障もついていて安心」と、ついつい加入者が増えてしまう。
ただ、
その本質は「為替リスクのある手数料の高い投資商品+保障の薄い保険」と言える。
資産を増やしたいのであれば、税制優遇制度を活用した投資をすべきだし、保障が必要であれば、収入保障保険など掛け捨ての安くて保障が大きいものを選択するべきだ。
貯蓄型保険は、貯蓄と保険が合わせ技になっていて、何にいくらかかっているか分かりにい。また、保障を充実させようとすると支払い保険料が高額になってしまう。つまり、正月に福袋を買って、いろいろ入っているが、「いやいや、これいらないし……」と不要なものを後悔するのに似ている。
そんなワケで、
貯蓄型保険に対する顧客からの苦情はとても多い。そこで、金融庁は実態を見えやすくするために「共通KPI(重要業績評価指標)」の導入を検討し、2022年春以降の公表を民間保険会社に求める方向だ。
これにより、
商品の運用益がどうだったか、運用実績の高い商品をどの程度顧客に提供していたかなどが見える化する。
実際、貯蓄型保険の実質的な手数料を計算してみると、1.5〜2%はざらにある。「2%なんて消費税に比べればたいしたことない。難しい運用をしてくれるんだからいいじゃないか!」なんて思ったら大間違い。
現在、一般的な投資信託の手数料は非常に少なくなっており、手数料は0.1%〜0.2%だ。貯蓄型保険の手数料1.5〜2%と比べたら、実質10倍の差になる。
例えば……
38歳のAさんが、毎月1万円を、手数料0.2%の投資信託(期待リターン5%)を、65歳までの27年間運用した場合は、単純計算だと元本324万円の積立が、運用で653万円まで増える。
一方で、同様の期待リターンの商品を貯蓄型保険で毎年手数料2%取られながら運用した場合は、元本324万円の積立に対して、27年後には496万円までしか増えない。
つまり手数料の安い投資信託と手数料の高い保険運用では手数料に157万円の差が生まれ、本来得られた利益のほぼ半分を手数料でもっていかれていることになる。
今年は、「共通KPI」により運用内容が見える化してくると、いかに高い手数料を取られているかわかるはずなので、
貯蓄型保険を辞める、という決断のきっかけになるだろう。
ただ、貯蓄型保険は途中解約すると、積立てた金額より解約返戻金が少なく、元本割れをしてしまうので、やめることを躊躇してしまうことがある。
あと数年で払い終えて元本以上になるのであればやり切るのも良いが、
「あと10年以上払い続けなければならない……」という場合は、思い切って解約を検討すべきだ。
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