まだ雪の残る1月の休日。東京・三軒茶屋にある「東京茶寮」には、暖を取るべく吸い込まれるように人が集った。そう、この日はオッサンに新たな趣味を提案する「オーシャンズとレジャー」の10回目となるイベント当日! 煎茶の新たな魅力を伝える、粋なワークショップなのだ。
「コーヒーもサードウェーブ、シングルオリジンの流れがあって、ワインやウイスキーでも同様です。それを、お茶の世界でも取り入れました。新たな日本茶のシーンを作りたいと思っています。ドリッパーを使って淹れるなど、少しモダナイズしていて、楽しみながらこの世界を掘り下げてほしいですね」。
こうクリエイティブディレクターの谷本幹人さんが教えてくれたとおり、店内は日本茶を出すとは思えないほど、ミニマルでスタイリッシュな空間。
「まずは一杯」と参加者に出してくれたのが、「はるもえぎ」なるお茶。そのお味は、ほんのり甘く、爽やか。どこか栗を感じさせる印象だ。
「マリアージュを楽しんで下さい」と井原店長が出してくれたお茶菓子はシナモンをまぶしたアーモンド。ほんのりと鼻腔をくすぐる、やわらかな甘さの香ばしいお菓子。「はるもえぎ」の甘さとマッチする!
そして同じ茶葉にもう一度お湯を注いだ二煎目は……「ぜんぜん違う!」と参加者のみなさん。一煎目より熱いお湯で淹れると、カフェイン・カテキンがより強く出るため、苦み・渋みが強いのだとか。深蒸しになればなるほど、蒸しの工程で繊維が崩れ、お茶の緑色が強く出るそう。
続いての「藤枝かおり」は静岡県産の浅蒸しのお茶。少し渋みを感じる印象で、微発酵でちょっと紅茶に近い風味。そこに合わせるのは貴腐ワインで漬けたレーズン。香りが実に良く、渋めの「藤枝かおり」に合う。
続いては氷だし。「淹れるお湯の温度で味は変わります。葉の上に氷を乗せて、溶けたしずくでゆっくりと淹れることで、うまみがギュッと凝縮しますよ」と出してくれたのが「うじひかり」。太陽の光を遮断して作る栽培方法だとか。
みなさんたぶん本日一番の驚き。ほとんど出汁! お茶というより冷製のコンソメスープが近いかもしれない。これにはカルチャーショック!
最後の「あさつゆ」は参加者自身で淹れる。自分で淹れたお茶は格別だ。「あさつゆ」は渋みが少なく、コク深い味わい。うまみが強い。
みなさんお茶を淹れるたびに熱心にメモを取り、産地や淹れ方に関する質問も続々寄せられた。日本茶に対するイメージが一新される有意義な一日になったご様子。そして最後に、好きな銘柄を2種類選んでお土産に。
「日本茶に対するイメージがガラッと変わりましたね。これなら一度挑戦してみたいです!」と参加者のおひとり。ちなみに当日の模様はコチラの動画をチェック!
みなさん一様に驚いたというのが、味や香りの幅広さ。言い換えれば、嗜好品としての奥深さがあるということ。ひとくちに「日本茶」という言葉で片付けるには惜しい世界だ。こだわりの第一歩は気づきから。その意味で、この週末が皆さんのいい第一歩の場になっていれば、うれしい限りです。