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余命宣告の45歳を迎える「4月11日」

余命5年を宣告されたダースレイダー

ダースレイダーは、次の4月11日に余命宣告で告げられた45歳を迎える。その日はどう過ごすのだろうか。

「大きめの会場を押さえてイベントを企画しています。のこのこ来やがったな、この野郎! って感じで登場したいですね(笑)。

5年を生き延びてやったぞっていう報告と、脳梗塞で倒れて病院で歩き方を一から覚え直したように、その日を何かしらのスタート地点にしたいなと思ってます」。

今後やりたいことは? という問いには、もちろん「ノープラン」という答えが返ってきた。

「長期プランっていうのはないですね。やっぱり僕は明日、何が起こるか分からないことを楽しみたい。あぁ、こんなことになっちゃったねっていう人生。でも、人間社会の中ではちゃんとやっていけているっていう絶妙なバランス。

コロナもそうですけど、僕自身の病気も川の分岐点のようなもので、流れに過ぎないと思ってます。ヒップホップで言うところの『フロウ』。

コロナが終息してもコロナ前に戻ることはないし、僕が回復したとしても病気の前の自分に戻ることはない。人の命もゆくゆくは流れていく。だから毎日をノリ良く、グルーヴィに生きていたい」。

限りある命を意識できるかできないかで、人生観は変わるし、今日という一日も昨日とは違うものになる。そのうえで自分はこう生きるという形を、ダースレイダーは再び見せてくれた。

「さて、どう生きようか」が改めて問われる時間となった。
 
ダースレイダー●1977年フランス・パリ生まれ、イギリス・ロンドン育ち。吉田正樹事務所所属。大学在学中にラッパーデビュー。所属するバンド「ザ ベーソンズ」の活動のほか、本や連載の執筆、YouTube動画の配信など精力的に活躍する。12月に出版されたばかりの新著『武器としてのヒップホップ』(幻冬舎)も絶賛発売中。
「37.5歳の人生スナップ」とは……
もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。
佐藤ゆたか=写真 ぎぎまき=取材・文

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