サーファーだった兄の影響でサーフィンを始めたのが高校1年生の頃。今では、海と街との往復はすっかり清水泰さんの日常となった。
週に数日は仕事前の朝に海へ入っている彼が「最高の時計です」と言い切るのがデジタルウォッチの代表格、Gショックだ。
「毎日これでタイドグラフを見ながら明日の波を気にしてるし、ワックスがついてもポロポロ落ちるから扱いもラク。ギアとして完璧なんですよ」。
長い間、海でも街でもそんな偏愛時計を身に着けていたが、年を重ねるにつれてある変化が。
「取引先の方に会ったり、かしこまった場に顔を出すことが増えるうちに、カジュアルすぎて失礼になるのは嫌だなと思うようになったんです。それで、自然と街中ではこの時計をすることが多くなりました」。
自身がブランドを立ち上げた頃に購入したというエルメスの名作「ケープコッド トノー」。レザーのストラップは既に3代目で、現在は半年待ちで購入したというパープルの2重巻きのものを着けている。
「いい時計は世の中にいっぱいあるし、実際僕もロレックスやオメガなんかも持ってはいます。でも、いちばん遊び心とお洒落を感じる時計が、僕にとってはこの『ケープコッド』なんです。
武骨なのに、品がある。ドレスアップにももちろん合うし、古着にだって良く似合う。いつも海から上がって、この時計に着け替えると、“よし、これから仕事だ”っていう気持ちに切り替わるんです」。
サーファーとしての顔と、ファッション人としての顔。2本の時計は、そのまま清水さんの2面性を象徴しているのだ。
品田健人=写真 今野 壘=取材・文 ディライト=撮影協力