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2021.12.26

からだ

「頭皮は鍛えるもの」ヘアケア界のキーマンが語る、正しい洗髪&メンテナンス術

年を取るにつれ、髪は少なくなり、ハリ、コシの不足によって髪のボリューム感もだんだんなくなってくる。この状況を前に、おじさんたちにいったい何ができるのだろうか? 
ヒントは筋肉にあるという。
年とともに衰えていく筋肉はトレーニングやストレッチを続けることで、維持するだけでなく、進化させることだってできる。そう、筋肉を鍛えるように頭皮だって鍛えればいいのだ。
日本のヘアケア界のキーマンのひとりであるヘアメイクアップアーティスト、田中誠太朗さんは語る。

「日本の男性の場合、薄毛などの症状を実感したときに初めて頭皮の健康に関心を持ち、治療やケアを始める人が多いように思います。
それよりも、常日頃から頭皮の健康を意識して、トラブルを未然に防ぐケアをするほうが断然クレバー。消極的な受け身の姿勢ではなく、“頭皮を鍛える”というアグレッシブな姿勢をとるべきだと思います」。
 

頭皮の現状を知るチェック方法

強い頭皮を手に入れるには、まずは頭皮のことを正確に知る必要がある。
「頭皮は脳を守るヘルメットのような役割を果たしています。全身の皮膚が大体1.4mmなのに対し、頭皮は2.3〜5mmほどもあります。思いのほか丈夫な皮膚なのですが、問題は蒸れ。頭部は体温が高いうえ、髪で覆われて湿度が高くなり、常に汗をかきやすい状態になっているんです。
たとえるなら、赤道が近い熱帯雨林のような状態。頭皮が蒸れると、雑菌が増えやすくなり、肌トラブルが起こることで髪の毛の正常なターンオーバーが乱れやすくなってしまいます」。
では、目標となる健康な頭皮とは?
鏡で頭皮をチェックしてみてください。もし、頭皮が青白く見えて、肌の表面が適度に潤っていれば、健康といえるでしょう。
ただ、黄色っぽく見えるようであれば、皮脂が過多気味で血行不良を起こしかけているかもしれません。赤く見えたり、にごったような茶色に見えたりする場合は炎症を起こしている可能性が高いです。
フケも危険信号のひとつと思ってください。粒が大きければ、皮脂のトラブル、小さければ肌の乾燥によるトラブルが考えられます」。
頭皮が健康を損なう要因はさまざま。
「紫外線、睡眠不足などの生活リズムの乱れ、ストレス、タバコなどですが、特に気を付けてほしいのは紫外線です。
発毛に関わる毛根の毛母細胞が紫外線によってダメージを受けると、恐ろしいことに新しい健康な髪を作り出すことができなくなってしまいます」。
確かに、顔に日焼け止めを使う男性は増えているが、頭皮の紫外線ケアまで頭は回らないのが事実。帽子を被るという手もあるが……。
 「帽子は頭皮に良くない、というイメージを持っている人がときどきいますが、帽子は頭皮を紫外線から守る有効な手段のひとつだと思います。
帽子によって蒸れることが問題なわけであって、屋外では被って、室内では脱ぐといったふうに、風通しの良さを意識すれば、帽子はありだと思います。そう考えると、ベリーショートやスキンヘッドの方は、紫外線に直接頭皮がさらされることになるので、帽子やUVケアが必要だと思います」。
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頭皮を鍛える「正しい洗い方」と「黒いシャンプー」

頭皮についてわかったら、次は鍛える方法が知りたい。田中さんが言うには、「スキンケア的なヘアケア」こそが、頭皮を鍛える黄金のメニューになるという。
「頭皮は顔と一枚の皮膚でつながっていますから、顔と同じようにスキンケアをするべきです。そのために、まず、重要になるのが肌のクレンジング。つまり、汚れを落とすシャンプーです」。
田中式シャンプーのコツは念入りに湯洗いをすること。
シャンプーを使う前に、38〜40℃くらいのお湯で髪と頭皮を洗います。私の場合、時間は3分程度。この作業でかなりの皮脂汚れや整髪料などを落とすことができます。このあとのシャンプー選びは、マイルドな洗浄力で泡立ちの良いものを重視する」。
頭皮マッサージもシャンプーのときに同時に行う。
「頭部は前頭筋、側頭筋、後頭筋などの筋肉に覆われているため、ほぐして血行を良くすることで、頭皮を鍛えることができます。指の腹を使って、頭皮を動かすようにほぐしてください。私は毛先の丸いシリコンのヘッドブラシでマッサージをしています」。
シャンプー選びは泡立ちの良さを重視するのがいい。
「汚れを落とすのは泡。そのため、泡がきめ細かでボリュームのある濃密泡が理想的です。指で髪や頭皮をごしごしこするように洗うのはNG。指の腹を使って、泡で汚れを包み込むようにして洗うことをおすすめします」。
シャンプーにもトレンドがあるが、最近、注目を集めているのは、ヘマチンという成分が配合された黒いシャンプーだ。ヘマチンとは人体や動物の血液中に含まれる天然成分。髪のたんぱく質と結びつくことで、白髪や抜け毛、紫外線のダメージを防ぐなど、さまざまな効果を発揮するといわれている。
「確かにここ数年、ヘマチンが配合されたシャンプーがリリースされていますが、サロン用のシャンプーでは、10年以上前から注目され、髪のプロたちからも高い評価を得ています。パーマやカラーの持ちが良くなって、ダメージもケアできる優れたシャンプーです」。
スキンケアの場合、肌をクレンジングしたあとは、化粧水で保湿を行う。ヘアケアではコンディショナーやトリートメントを使う。
「トリートメントが美容室でケアするような内部補修までもしてくれるものに対して、コンディショナーはリンスに近く髪表面のコンディションを整えるようなもの。
最近では多少内部補修をしてくれるものもコンディショナーの中にも出てきてはいるものの、髪のハリ、コシのためにもしっかりと内部補修をしてくれるトリートメントを推奨したい」。
次は頭皮に潤いと栄養をチャージするスカルプエッセンス。これはスキンケアでいう美容液にあたる。
「全体にまんべんなくつけますが、特に生え際や頭頂部など薄毛や髪のダメージが気になる部分はしっかりと。スカルプエッセンスは頭皮が濡れすぎていると、浸透しにくくなり、かといって肌が乾きすぎていてもなじみにくくなります。
髪を洗ったあと、頭皮が8割くらい乾いたタイミングでつけるのが、効果を高めるポイントです」。
シャンプー、コンディショナー、スカルプエッセンス。以上が頭皮を鍛える基本的なメニューとなる。さらに田中さんは頭皮の健康を守るうえで、男性にぜひ心得てほしいことがあるという。
「ドライヤーです。髪や頭皮が濡れたままだと、雑菌が増える原因になりますし、頭が冷えることで血行不良を起こしやすくなります。タオルドライだけだと限界があるので、必ずドライヤーで乾かしてください。
ちなみに仕上げに冷風を使うと、髪のたんぱく質が冷えて固まり、ハリやコシが生まれ、髪のボリュームが出やすくなります」。
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