梶原由景さんが設立したローワーケースはこれまでに幾多のコラボレーションやプロジェクトを仕掛けてきた、ファッション界切ってのヒットメーカー。
そのなかには時計の企画も多く含まれているが、梶原さん自身が時計にコンシャスになったのは意外に遅めだそうだ。
「年相応の良い時計も持っておきたいなと思ったのが30代の後半でした」。
そうして選んだのがロレックスの「シードゥエラー」。当時の現行品だ。
「これに惹かれたのは頑丈だったから。要は、それまで着けていたGショックみたいな感覚で使えそうだなと思ったんです」。
そこからハマり、今では10本ほどのロレックスを所持しているそう。
しかし、高級時計の王道に傾倒しながらも梶原さんの格好は決してラグジュアリー一辺倒にはならない。
「ハイ&ローというんですかね。時計はハイかもしれないけど、服の好みは変わらず、スウェットにグラミチとか、ローなテイストものばかり。
高級時計とラフな格好。そんなコーディネイトが、今の僕にとっては心地いいんです」。
そうした視点を与えてくれたのは、彼と親交の深い洒落者の先達たち。
「藤原ヒロシさんだったり、スタイリストの山本康一郎さんだったり。彼らは一流品を好むけど、ステイタスを求めるのではなく、取り入れる感覚がすごくフラットなんですよね。
肩肘張らずに自身のスタイルに合わせて一流品を楽しむ。そんな姿勢が、僕の時計との付き合い方に影響を与えたんだと思います」。
比嘉研一郎=写真 今野 壘=取材・文