OCEANS

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自分を形成する背景とリンク

輸入車をメインとしたレストア工場を営む父の影響で、幼い頃から車に触れる機会が多かったんです。その中でもミニは、父が偏愛していた一台。
当時は理解できなかったその魅力に気付けたのは、社会人になって10年経ち、結婚を機に初めて車を購入したときでした。
いろいろな車をリサーチする中で両親に相談したところ、クラシックミニを修理して僕のために造り直してくれたんです。当然思い入れも深くなり、そこから加速的にミニにハマっていきました。現在も2台目のクラブマンを経て、現行のクロスオーバーに乗っています。今では完全なミニファンですね。
そしてファッションブランドのデザイナーを生業とする僕にとって、大切なバックグラウンドとなるカルチャーの根源はすべてイギリス。音楽であればザ・ビートルズやオアシスだし、サッカーならマンチェスター・シティ、ファッションでいえばバブアーやクラークスなど、イギリス由来のものばかり。
そんな自分の背景ともリンクする、元はイギリス車だったミニはしっくりとくるんですよね。小さい車と思われがちなのですが、クロスオーバーならSUV仕様で積載量もそれなりにあり、趣味のスケートボードや仕事で地方へ遠征する際にもまったくストレスなし。
何ならクラシックミニをもう一台購入しようと検討中で、家族用と趣味用で使いわけられたらいいなと、いろいろと企んでいます(笑)。
ディアスポラ スケートボード デザイナー
田中優也

東京発のスケートボード&ファッションブランドのデザイナー。また、自身のプライベートブランド、ポヴァールも手掛ける。ブリティッシュカルチャーに精通し、自他ともに認める車好き。
 

永く愛せて実はエコ!?

ミニの顔つきが変わったんですよ、とお伝えしても、多くの方は「いえいえ、ミニのまんまやないですか」と思われるはずだ。
確かに、ヘッドランプがLED化されようが、フロントグリルが少し大きくなろうが、ミニはミニ。で、新しいミニを眺めながら、20年前に車好きの間で巻き起こった「ミニ論争」を懐かしく思い出した。
2001年に登場した、いわゆる“ニュー ミニ”は、1950年代にデビューしたクラシックミニのデザインをベースにしていた。これが気に入らなかった人がいたのだ。
いわく、「過去を振り返るのではなく、見たこともないような造形に挑むのがデザイナーの仕事だろう」というわけだ。なんて他人事のように書いていますが、筆者も「レトロ狙いってクリエイティブじゃないな」と思ったひとり。
でも登場から20年を経た今、自分の間違いに気付きました。ギブソンのレスポールやコカ・コーラのボトルのフォルムと同じように、ミニのデザインも完成されたひとつのスタイルなのだ。電気自動車の時代になっても、このスタイルは古クサくならないだろう。
そもそもクラシックミニは、石油危機に直面したイギリスで、経済的なエコカーとして開発された。今のミニも、使い捨ての消費物というより長く一緒に暮らす相棒みたいなキャラで、10年、20年のトータルで考えれば環境に優しいはず。格好だけでなく、「実はエコ」という特徴も継承しているのだ。
モータージャーナリスト
サトータケシ

フリーランスのライター/エディター。平塚市民のソウルフード、平塚タンメンに衝撃を受けたらしい。「平塚でしか食せないので、近くにお越しの際はぜひ。タンメンの概念が変わります」とのこと。
 



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