高度な職人技でハイテク感を再現
昔ながらの製法で作る革靴ではあるものの、職人たちと協力し新しいアイデアを形にする姿勢を貫いている。それが顕著に表れているのが、ハイテクスニーカーの名作たちをオマージュしたモデルだ。
mipシリーズの中でも高い人気を誇るこちらは、 革の扱いに熟練の職人技が光る。つま先には柔らかなタンニン鞣しのシュリンク革を使用。詰まって見える履き口には鹿革を使い、モチーフの質感を忠実に再現した。
こちらは4種類のカウレザーとゴートレザーを切り替えて、パーツごとの色味やテクスチャーの違いを見せているのが秀逸だ。
スニーカーシーンに一大センセーションを巻き起こしたハイテクスニーカーにオマージュを捧げた一足も。蜘蛛の巣を彷彿させる甲部分を覆う特徴的なパーツは、水に濡らすことで形状を記憶する革の素材特性を生かして成形。まさに職人の知見と手仕事によってなせる技である。
シンプルなローテクスニーカーに比べ、デザインも革新的だしディテールも細かい。だがそのぶん、パーツごとで経年変化に差異が生まれたり、通常の革靴とはちょっと違った足入れの感覚を楽しめたりする。
何より、「コレ、実は革靴なんだ」というルックスのインパクトは、ほかでは味わえないものだろう。
職人技に支えられたエンダースキーマの表現力は、やがてスニーカー以外のシューズにも及んでいく。
[問い合わせ]
スキマ 恵比寿
03-6447-7448
https://henderscheme.com
外山壮一=文