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2021.11.03

ファッション

ノンネイティブ ・藤井隆行さんが考える服の「機能性」の本質

ノンネイティブが初めて「ゴアテックス」を採用したのは2008年のこと。そこから時間は経ち、藤井さんの洋服観に転機が訪れる。
家族とともに長年暮らした都内から神奈川県葉山町の高台へと移り住んだことで、生活様式はもちろん、洋服との付き合い方にも変化が表れたのだ。
ノンネイティブ デザイナー
藤井隆行さん

1976年生まれ。2001年にデザイナーとしてノンネイティブに参加し、着る人の個性が引き立つ洗練されたリアルクローズを提案している。今年の夏前からはランニングに目覚め、現在は冬場のランスタイルを模索中。
「庭の草むしりをしたり散歩をしたり、海や山に行ったりすることが多くなりました。そうなってくると今日はこういうことをするからこの服を着ようと、仕分けるのがすごく面倒になってしまって。すべて同じ服で行動できないかな……と考えるようになりました。
もともと僕は寝るときも普段と同じ格好でいたくて、パジャマすら持っていない。翌朝起きたら、そのまま外出できるのが理想なんです」。
藤井隆行さんが考える“機能性”の本質「ノンネイティブの服はほとんどが洗濯できます」
ツブが細かく、滑らかな触り心地のフリースを使ったシャツジャケットとパンツのセットアップ。一般的なフリースの約4倍の防風性がある「ポーラテックウインドプロ」を使った高機能モデル。通気性が高いため、そのまま寝てもムレずに快適。フリース3万8280円、Tシャツ9680円、パンツ3万1680円/すべてノンネイティブ(ベンダー 03-6452-3072)
作業で汗をかくときも、居間でくつろぐひとときも。さらには仕事で都内へ出るときまでも、できれば同じ服装で通したい。そんな視点でワードローブを選ぶようになってくると、自然とイージーケアの重要性も実感するようになってくる。
上の写真で着用したセットアップはそのまま、端正なコートと質実剛健なブーツを加えるだけで簡単にワンマイルスタイルへとアレンジ可能。フリース3万8280円、Tシャツ9680円、パンツ3万1680円、グローブ5280円/すべてノンネイティブ(ベンダー 03-6452-3072)、コート19万8000円/ユーゲン フォー ワイルド ライフ テーラー(アダム エ ロペ 0120-298-133)、ブーツ4万1690円/レッドウィング(レッドウィング・ジャパン 03-5791-3280)、サングラス1万9800円/アイヴォル(アイヴァン PR 03-6450-5300)
そのまま寝てもシワになりにくく、汗をかいたらすぐに洗えること。曰く、「ノンネイティブの服で気軽に洗えないのは一部のウールとデニムくらいで、それ以外はほとんどが洗濯できるようになっています」とのこと。
藤井さん個人でいえば、レザーブーツさえも容赦なく洗濯機にかけている。そのため藤井家の洗濯にややこしいルールはなし。
余談だが、先頃高校生になった娘さんは藤井さんや奥さんの洗いたての洋服をよく借りて着ているそうで、そこでも境界線が取り払われているのが微笑ましい。
「誇示するためのスペックではなく、普段使いでのメリットを踏まえてテクノロジーをチョイスする視点が大切。何よりもシワや型崩れの心配がいらず、汚れたら気兼ねなく洗えることが快適さを保つための必須条件となります」。
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葉山暮らしに慣れ、冒頭で触れた「ゴアテックス」の有用性もさらに増した。しかし、藤井さんがそこに感じるいちばんの恩恵は防水でも撥水でもなく、防風に尽きるという。
「とにかく葉山は風が強い。聞いた話だと、都内のビルの20階くらいの強さの風が吹いているそうです。現代の大人が日常で雨に打たれる機会はほぼないと思いますが、風はすごく厄介。冬場はそれで一気に体温が下がってしまう。ではどうしのげばいいのか。その答えのひとつが『ポーラテック』の防風性なんです」。
フリースは「ポーラテックウインドプロ」、素肌に触れるカットソーは「マウントブレスウール」という高機能素材で保温と吸湿、抗菌・防臭効果を得られる。もちろん、どちらも手軽に洗濯可能だ。フリース3万8280円、Tシャツ1万7380円、中に着たカットソー1万9580円、パンツ3万9380円、グローブ5280円/すべてノンネイティブ(ベンダー 03-6452-3072)、スニーカー2万6400円/イノヴェイト(デサント トウキョウ 03-6804-6332)、ハット1万2100円/アンドワンダー 03-5787-3460
この日、藤井さんが着ていたベストも「ポーラテック」を使ったノンネイティブの新作。フリースに付きものの風による体温低下が劇的に解消されている。
自他ともに認める服好きとして、これまでに老舗からデザイナーズブランドまで、膨大な数の洋服を着てきた藤井さん。その大半が淘汰されて最終的に自身のクローゼットに残ったのは、こんなふうに機能的だが自然体で心地良く、あらゆる場面でファッションとして成立するデイリーウェアばかりだ。
「街中で異質に見えるのではなく、あくまで日常のワンシーンに溶け込めるのが大前提。そのうえで、着替えることなくさまざまなシチュエーションに対応できれば境界線はなくなる。レイヤードで調整するという考え方もありですね」。
「服を作っている身であんまり『これは着ない、あれは着ない』って言うのも気が引けますが(笑)、自分が着たいと思えるものを作りたいといつも思っています。僕にとってはストレスがないことがいちばんの機能性。たくさん失敗もしてきて、ようやく正解が見えてきた気がします」と藤井さんは話す。
本当にシームレスな洋服を作るために、今日もノンネイティブはゴアテックスにシームを入れるのだ。
 
芹澤信次=写真(人物) 永瀬 歩=写真(取材) 菊池陽之介=スタイリング 竹井 温(&’s management)=ヘアメイク 今野 壘=文

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