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総額1000万円。やっぱりそれなりに費用はかかる!


ここまで聞くと、モダンで豪勢なキャンピングカーにも俄然興味が湧いてくる。
ただ、当然のごとく心に留めておきたい注意点もある。


「先ほど交換した運転席の話をしましたが、オイル交換時にはすべて一度、外さなくてはなりません。車体が大きくて全体的に重いので、スタビライザーを前後に入れ、前はブレーキングを強化。足回りも全部変えています。そうしないと首都高を運転するときなんかは怖いですからね」。

そのうえ、もともとゴールドベージュだった車体に高級感溢れるマットグレーにフルラッピング。よりラグジュアリーな印象に仕上げた。おおよそキャンピングカーとは思えないゴージャンス感を漂わせるが、3年ごとにラッピングし直さなければならない手間と費用も頭に入れておかなければならない。
「自分の欲しいオプションをつけていくと、だいたい通常の1.5倍ぐらいの値段はかかると思います。僕の場合だと、だいたい950万円ほど。そこからさらにラッピングをしたのでプラス80万円ぐらいですかね。なので、総額で1000万円ぐらいはかかっています」。
 

強いて言えば、燃費と乗り心地には少々の難あり


これほど充実した設備にケチを付ける隙などないが、さまざま搭載しているゆえの“難”もある。
「機能性は文句なし。ただ、基本トラックベースなので、乗り心地をウリにしている車と比較すると、多少は劣るかもしれませんね。今の僕らの生活にはハマっていますが」。
しかも、車体が重くなるということはそれだけ走行パワーも必要になり、必然的に燃費問題へと直結する。
「いつもは、千葉にある森のまきばオートキャンプ場に行くことが多いのですが、ほかにも道志村やふもとっぱらへもよく行きます。その経験から、だいたい燃費はリッター6.5kmほど。一般道をバランス良く走った場合でも7kmぐらいでしょうか。
燃費が良いとは言えないかもしれませんし、タンクも小さくて70リットルぐらいしかしか入りません。だから1回の給油につき、走っても400kmぐらいです。とはいえ、それはまあ当然といえば当然。あんまり気にしません(笑)」。
 

車内を広々使うには、収納に工夫も必要です



広さが限られている車内。活動空間がしっかり確保されているということは、それだけ収納スペースが限られてしまうという問題も生む。
そのため、久保さんはサイズに見合うコンテナなどを駆使しながら、無駄なくキャンプギアを収納。問題回避を試みている。

「ベッドの下が全部収納スペース。ここにキャンプ道具のすべてが入っています。ウッド調のコンテナは『IKIIKI』というメーカーのもので、たまたまサイズに合うものがあったので選びました。外で使ってもいいし、中で使ってもいい。中身が見えなくてちょうどいいんですよ」。
チェアも、パーツごとに分解できるカーミットチェアで揃えるなどアイテム選びにも工夫が見える。
ネガティブを克服し、それを上回る楽しみを手に入れる。久保さんの発想と経験からくるキャンピングカー処世術はどれも、聞いていて面白い。

費用や燃費といった不安要素はあるが、これだけの快適さを伴うキャンプライフを想像すると些末なコトのようにも思える。
「僕はキャンプを格好良くやる中で、車があったほうがいいと考えました。だから、車内も洗練さや高級感を意識したんです」。
そう語る久保さんの笑顔を見るにつけ、それを実感させられる。
「今は趣味のキャンプですが、定年後は仕事にしても面白いなと思いますね」。そんな前向きな気持ちにさせてくれるのもまた、この車の魅力なのかもしれない。
キャンピングカーのリアル●永遠の憧れ、キャンピングカー。あんな使い方やこんな使い方ができたら……と妄想が膨らむけど、燃費は? 維持費は? 運転は難しくないの? レンタルはどう? あらゆる角度で探った“キャンピングカーのリアル”。
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佐藤ゆたか=写真 菊地 亮=取材・文


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