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「ケチった数だけリスクが増える」という金言


一綺さんが熱を込めて話すのが、「後々を考えると、最初にお金をかけたほうがいいですよ」ということ。
「例えば、僕の乗っているヴィンテージのシェビーバン(2駆動)だと、程度がいいもので現在車体価格が350〜400万円ほど。今はどんどん価格も上がっています。もちろんショップは最低限走るようにしてから売りますけど、古い車だから、予防的に新品に換えた方がいいところも絶対あります。
乗り始める前に不安箇所や消耗パーツをすべて換えておくことで一旦リセットできるので、あそこはいつ換えたから……って分かりやすくなりますしね」。
それを「面倒だ」「金がかかる」などと言ってスルーしてはいけない。
「そうしてちゃんとメンテナンスをすれば、燃費も上がるし、故障も少なくなる。アメ車はよく壊れると思っている人も多いと思いますが、それはバブル期に植え付けられた勘違い。アメリカの車は、実は壊れにくいんです。シボレーやGMCなどのGMブランドの車はパーツが手に入りやすく、しかも安いですからおすすめです」。

美伽さんもため息まじりにこう話す。
「イベントなどに参加すると、車の内装デザインを聞く前に『燃費悪いんでしょ?』『よく壊れるでしょ?』とおっしゃる方が割といます。でも、ツボを押さえてしっかりメンテナンスしておけばそうじゃないんですよ!ということをまずは言いたいですよね。それでも気にされるなら、やはり外車は乗らない方がいいかもしれません」。
旧い車に気分よく乗る=初期投資はかかる。そこでケチってしまうとその後のしっぺ返しで痛い目を見ることになるのだ。

長く付き合うために、こまめなメンテナンスを


革靴もそうだし、自分自身の体もそう。できるだけ長い付き合いを、と願うのであれば日頃からのメンテナンスは大切だ。それは、一綺さんも日頃から怠らない。
「オイル交換は基本5000kmまでに1回と季節の変わり目が目安ですかね。特にアメ車は大きいエンジンの割にオイルタンクが小さいですから、暑い時季になるとエンジンも熱しやすくなり、オイルが悪くなってしまいます。
乗らなくても季節ごとに変えないとオイルは酸化するので、そのあたりは気をつけたいですね。駐車していると、稀に地面にシミができていたりしますよね。それは何らかが漏れている証拠。指ですくって匂いを嗅げば、オイルか冷却水かがだいたい分かるので、その都度速やかに対処したいところです。旧い車に乗りたければ、そこは労ってあげないと」。

特に気にしたいのがエンジン音だ。
「定期的にオーディオを切って、エンジンの音を聞いてたり、窓を開けて匂いを嗅いでみるといいでしょう。いつもと違う匂いや音……例えば甘い匂いや焦げたような匂い、カタカタカタとかすかに何かひっ掛かっているような音が聞こえるなど、『いつもと様子が違うかも?』と思ったら、信頼できるお店に迷わず持って行ってください。あと最低限、空気圧は給油ごとにチェックするクセを付けたほうが賢明ですね」。
巷の賑わいからあらゆる拡大解釈のもと、独自のスタイルで各々“バンライフ”を楽しむ姿が見られるようになってきた。ただ、一綺さん曰く「決して、旅やキャンプ専用の車ではないのがキャンパーバンの良いところかな」。
美伽さんも、「これでキャンプへ行くときもあれば、スーパーへ行くときもある。めっちゃ普段使いの車ですから」と言う。
だからこそ、あくまでキャンピングカーではなく、キャンパーバンを目指して車を選ぶときは、日常使いもできるような意識で購入やカスタムすることがオススメ。あらゆるメリットやデメリットを知っておけば、リスクヘッジを試みながら夢への第一歩を踏み出せすことができるはずだ。
キャンピングカーのリアル●永遠の憧れ、キャンピングカー。あんな使い方やこんな使い方ができたら……と妄想が膨らむけど、燃費は? 維持費は? 運転は難しくないの? レンタルはどう? あらゆる角度で探った“キャンピングカーのリアル”。
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佐藤ゆたか=写真 菊地 亮=取材・文


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