特集
Have a nice ONSEN trip
ユーザーのキャラクターを見ていこう。車に対する価値観や、生活・消費に対する価値観のデータだ。それぞれの項目に対して、「あてはまる」「ややあてはまる」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の4つの選択肢から「あてはまる」を回答した人の割合を紹介する。
全車種・全メーカーを対象とした新車購入者全体と比較することで、ジープユーザーの特徴を明らかにしていこう。
代表車種であるラングラーに着目すると「車は自分にとって趣味」「多少無理をしても気に入った車を選ぶ」のスコアが高く、車好きや車への支出の優先度が高い人々であることがわかる。
「車選びは第一印象を大事にする」「周囲の人に注目される車に乗りたい」「自分のセンスには自信がある」も同様に高く、自身がいいと思ったものに向かって真っ直ぐに突き進む姿勢が見える。
先に紹介した「街中であまり見かけない」を購入時の前提条件にあげていたように、ほかの人とカブらない、注目される車に乗りたい思考があると言える。
そして、そういった考えは「さまざまな情報を積極的に取り入れている」ことが裏付けとなっているようだ。
筆者は、ラングラーでなければ走破できないような道を、突き進もうとしたことはこれまでにない。しかし、災害の多い日本においては、いざというときのために高い走破性を持ち合わせている車に安心感を覚える。
同時に、そのような性能面を考慮せずとも、オリジナリティ溢れる外観デザインと、これまでジープが培ってきた「無骨」「タフ」といったイメージをかっこいいと感じるユーザーに共感できる。
ジープに興味を抱き、購入に至った人は、本格的な走破性が自分にとって必要かどうか、内装の具合はどうかといった「堅実な足し算」だけをしたのではないだろう。保有することで、毎日の生活がより充実し、楽しくなるという期待感が背中を押したのだと思う。
ジープは、親会社が次々に変わる歴史を持つが、ブランドの哲学をほとんど変えてこなかった。以前のジムニーの記事では、“長きにわたってコンセプトを変えない”という開発・販売戦略がオンリーワンのポジションを確立した、といったことを書かせていただいた。
このような個性あふれる車種たちが、自動車市場の多様性を拡大させ、購入時の検討の幅を広げ続けてくれることを期待したい。
三浦 太郎:インテージ シニア・リサーチャー
>東洋経済ONLINEの著者ページはこちら
記事提供:東洋経済ONLINE
次の記事を読み込んでいます。