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カラトラバ・ファミリーのエポックモデル

1932年にRef.96を発表して以来、パテック フィリップは永久カレンダー搭載クロノグラフなどの超複雑機構以外にもバリエーションを拡充していく。
カラトラバ・ファミリーに関しては、手巻きのスモールセコンドだったRef.96に続いて、1934年には手巻きのセンターセコンド(Ref.96 SC)、クルー・ド・パリ・ベゼルを備えたモデル(Ref.96D)が立て続けに登場した。
「カラトラバ」の歴史を彩るクルー・ド・パリ・ベゼルを初採用したRef.96D。このベゼルが今季、復活!
パテック フィリップは懐中時計の時代から誰もが認めるコンプリケーションの巨匠であり、腕時計の分野でもドレスウォッチ、スポーツウォッチ、ジュエリーウォッチと成功を収めているが、そのなかでもカラトラバの創作は特別な意味を持つ。
革新的であると同時にシンプルであり続けることは、カラトラバのスタイル条件。そのためデザイナーは細心の注意を払いながら、膨大な時間をかけて新しいデザインと向き合う。
パテック フィリップの現社長ティエリー・スターンいわく、カラトラバで最も難しい仕事である文字盤の製作については、数十回にも及ぶ試作が行われるという。
リーフ針&ブレゲ数字を持つ1942年製のRef.570。これ以外にも文字盤は多くのバリエーションが存在する。
1953年には、パテック フィリップ史上初の自動巻きムーブメントCal.12-600 ATを搭載したモデル(Ref.2526)を発表。
究極の完成度を持つ最高峰の自動巻きムーブメントの高評価とともに、カラトラバ・スタイルは次のステージへ上り詰めた。
機械式時計復興の時代となった1980年代以降では、創業150周年記念として1989年に限定発売した初のオフィサータイプのRef.3940、続いて1991年には4時位置にスモールセコンドを配したRef.5000などのカラトラバの次世代を担うモデルが加わった。
Ref.5000の後継機にあたる2017年に登場したRef.6000。現在は廃盤。
今もカラトラバ・スタイルの基本的な姿勢は変わらない。
すべての“始まり(Ref.96)”からの伝統を受け継ぐ手巻きモデルRef.5196、オフィサーケース仕様のヒンジ付きカバーを備えたRef.5227などが持つ控えめな佇まいには、パテック フィリップならでのエレガンスと歴史の重みが詰まっている。
「カラトラバ Ref.5196」18KYGケース、37mm径、手巻き、282万7000円/パテック フィリップ(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター 03-3255-8109)
「カラトラバ Ref.5227」18KRGケース、39mm径、自動巻き、435万6000円/パテック フィリップ(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター 03-3255-8109)
インビジブル・ヒンジ付きカバーを備えたケースバック。
 
腕時計が好きなら、いつかは手にしたいパテック フィリップ、カラトラバ。この不思議な魅力はどこから湧いてくるのか。原点“クンロク(Ref.96)”からの系譜を追うと、自ずとその理由が見えてくる。
 
[問い合わせ先]
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター 03-3255-8109
戸叶庸之=文


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