メルセデス・ベンツのオフローダーといえばGクラスの名が挙がるだろう。しかしGクラスより約30年前。1948年に生まれた“メルセデス史上”いや、“車史上”最強と言っていいかもしれない1台がある。
「ウニモグ」である。
このウニモグこそ、最強のオフローダーの称号がふさわしいかもしれない。何しろ、高度6000m超の高地や人類未踏の地、はたまた線路の上まで走ることができるのだから。
車というより「多目的動力装置」
もともとは戦争が終わった1945年に農業用の多目的工作車として発想されたウニモグ。
どんな凸凹道でも柔軟に対応できる優れたサスペンション構造、一輪だけでも地面と接していれば進めるディファレンシャルロック機構、さまざまな作業機を車体の前や中央、後ろへ装着できる工夫などを備え、もとは1948年にドイツの工作機械メーカー、ボーリンガー社によって販売がスタートした。
その際に与えられた名前がUniversal Motor Gerät(多目的動力装置)。その頭文字をとって、UNIMOG(ウニモグ)と呼ばれたのだ。
1950年に同社からウニモグを引き継いだのがダイムラー・ベンツ社(現ダイムラー社)だ。
そのグリルに「スリーポインテドスター」が掲げられると、森林や資源開発、軍用、鉄道も含めたインフラの整備、災害対策など、さまざまな分野でウニモグが活躍するようになる。
また用途の多様化に合わせて小型から大型までバリエーションも増えていった。
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