■ホンダ クロスロード
全長約4.3mと現行型ヴェゼルとほぼ同じ大きさなのに、3列目シートを備えていたコンパクトSUV、クロスロード。当時のコンパクトミニバン、ストリームをSUVに仕立て、2007年にデビューした。
今では3列シートを備えたSUVはいくつかあるが、このサイズは当時も今も画期的。ただ、デビューした頃はまだ日本ではミニバン全盛期ゆえ、「3列シートが必要ならミニバンを買うよ」と思われたのか、たった3年で販売が終了してしまった。
同社ならではの低床化技術で室内は見た目より広々している。普段は3列目シートを床下に収納した状態で348Lと、このサイズの5人乗りSUVとして使っても十分広いラゲージを備えていた。
またこの頃のSUVの場合、助手席側の死角をなくすための補助ミラーが備わることが多いのだが、クロスロードでは助手席側ドラミラーの下部に鏡を備えて、補助ミラーをなくしたことも、見た目の良さを格上げしている。
今となってはキュービックなフォルムがウケて、中古車市場では平均約90万円とやや高値で出回っている。リフトアップやアースカラーに全塗装されているなど、カスタマイズされたものが多いのも人気の証だろう。
それでも、このスクエアフォルムで、日本では圧倒的に取り回しやすいサイズは唯一無二だけに、気に入ってしまったら中古車を探すほかない。
■ホンダ エレメント
トヨタだけでなく、ホンダだってアメリカの若者に振り向いてもらうため、かつてキャラ濃いめなSUVを作っていた。2002年にまずアメリカで販売され、2003年には日本でも販売されたエレメントだ。
しかし当時の日本の若者には早過ぎたのか、約2年後の2005年には販売が終了してしまった。ちなみにアメリカでは2011年まで販売されている。
開発スタッフは若手アメリカ人チーム。ライフガードステーションをモチーフにデザインされたこのSUVは左右とも観音開きドアを備えていた。
これはヒンジドアより開口部が広く取れるため、大きなギアを持ったまま車内に乗り込みやすくするためだ。
バックドアは上下に分割して開閉し、下のゲートは大人が腰掛けて上のゲードで日差しを避けながら、良い波が来るまで待つ、なんて使い方が想定されていた。
2列目シートを左右に跳ね上げればフラットなラゲージが拡大でき、マウンテンバイクを2台収納可能。フロアは濡れてもモップで拭ける防水性の高い素材が、シートも撥水加工が施されているので、波で濡れたウェットスーツのままでも、雪まみれのウェアでも気にせずドカドカ乗り込めた。
新車ではすぐに販売終了してしまったが、中古車市場では、15年以上前の車にもかかわらず現在でも平均価格で100万円を超える大人気ぶりだ。
籠島康弘=文