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高級車というよりむしろ「高機能車」

ピチカート・ファイヴの楽曲に「マジックカーペットライド」という佳曲があって、不思議と耳に残るんです。要は「空飛ぶ絨毯」です。このマジックカーペットライドを感じた瞬間が今までに3回ほど。一回目は初めてロードバイクのペダルをこいだとき。次がロングボードでの初テイクオフ。どちらも予想を超える浮遊感で、スーッと滑る感覚が人生観を変えるほど気持ち良かったことを覚えています。
そして3回目のマジックカーペットライドが、このe-tronと同じピュアEVであるテスラ モデル3のアクセルを踏んだとき。エンジンやギアシフトの振動がない、モーターによるスムースな加速は何度味わっても快感です。
普段のアシがBEVになったことで、サステナブルにも自然と意識が向くようになりました。EV用電池の製造廃棄に伴うCO₂排出量という課題もありますが、レジ袋をマイバッグに置き換えるのと同じで、EVに乗ることでまずは環境問題を日常の自分ごとと感じられるようになる点がいいですよね。
それに、EVならではの走行性能がシンプルに楽しいです。だからモデル3にはしばらく乗り続ける予定ですが、本音を言うならSUVのほうが山好きの行動範囲にマッチするので、e-tron 50 クアトロは大いに気になります。
某政治家が言ってましたが、環境問題にはクールでセクシー=ワクワクできる心持ちで向き合いたいもの。アウディの、ピュアEVのSUV? 間違いなくセクシーですよね。
プロトレイルランナー/ライター
礒村真介
出版社勤務を経て、トレイルランで世界の山を駆けるべくフリーランスに。山好きになってからはジープを乗り継いだあと、テスラ モデル3にシフト。でも、セカンドカーのジムニーは手放せない。
 

BEVは“らしさ”をより感じられる

「BEVの時代になったら、どこのメーカーの車も同じになる」てなことを言う方がいらっしゃいます。あと、「BEVの製造には、電機メーカーとかITとか、いろんな業種が参入する」という意見も耳にします。
確かにそうかもな、と思います。バッテリーに蓄えた電気でモーターを回すBEVは、言ってみればラジコンと同じ。エンジンとかトランスミッションとか、ややこしい部品は不要だから、プラモデルに電池とモーターを載っける感じで、簡単に造れそうな気がします。
でも、アウディe-tronに乗ると、「バカな考えを持ってすみませんでした!」と謝りたくなります(誰に?)。揺れていないのにふんわりしているという、エアサスペンションがもたらす“魔法の絨毯”的な乗り心地。安定した姿勢を保ちながら、クルッと俊敏に曲がるのは、遡れば1970年代のWRC(世界ラリー選手権)での大活躍に行き着く、4輪駆動システムのおかげでしょう。
アウディってお洒落な自動車メーカーだと思われがちですが、もともとはラリーやレースで技術を磨いた武闘派集団。そうした技術が今、ラグジュアリーな乗り心地や正確無比の操縦性として開花しているわけです。
エンジンよりもレスポンスが素早く、静かで振動のないBEVになることで、アウディのスポーツ性やラグジュアリーな乗心地は、さらに強調されています。いやいや、BEV造るのって、結構ムズいっすよ。
モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/エディター。取材でふれた「CUZEN MATCHA」という抹茶マシンに心奪われ、真剣に購入を考えているとか。「でもマッサージガンも欲しい」と、物欲の塊。
 



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