オリジナルの香りや風味、そしてさまざまなご当地モノを楽しめることで流行中のクラフトジン。
はじめに種明かしをしてしまうと、ここで紹介するのは酒の“粕(カス)”からできたクラフトジンである。その名も「ラスト エピソード0(LAST EPISODE0)」だ。
センスを感じさせるルックスも粋ながら、銘柄である「LAST」の文字には“最後”と“存続させる”の意味が込められている。
というのも、酒粕といえば日本酒を製造する段階で必ず生まれる、言わば“産業廃棄物”。粕漬けや甘酒などで再利用もされているが、一方で、廃棄するとコストもかかってしまうし、そもそもエコではない。
こうした現実を踏まえ、「最後に残った酒粕の、いのちを紡ぎたい」と目をつけたのが、このラストシリーズを手掛けるエシカル・スピリッツだ。
何がスゴいって、廃棄されるはずの酒粕から新たに生み出したジンが、国際的な酒類の品評会である「IWSC2021(International Wine & Spirit Competition 2021)」で最高賞を受賞するという快挙を成し遂げたこと。
ラスト エピソード0の「エレガント」が最高賞の金賞、「モデスト」が銅賞を受賞。世界三大酒類コンテストのひとつであるIWSCで、兄弟揃って金メダルと銅メダルをとったようなもの。
例えるなら、柔道の阿部兄妹のようなものだろうか(彼らはふたりとも金だけど)。
通常、ジンはベーススピリッツにボタニカルの香味を付加させることで造られるが、ラストシリーズは、ベーススピリッツに酒粕を組み合わせることで、酒粕由来の芳醇な香りを含ませることに成功。結果、“飲む香水”と謳うほど香り高いジンが完成した。
酒粕は鳥取県にある千代むすび酒造のものを使用。ちなみに今後、別の酒造の酒粕で生産されることがあれば、それぞれ「エピソード1〜」とナンバリングされていく予定だ。
製造元のエシカルスピリッツは、このラストシリーズを定番としながら、ほかにも大量に余ったビールや、カカオ豆の薄皮であるカカオハスクなど、廃棄予定の素材からクラフトジンを作り出している。
エシカルに造られたクラフトジンがこれほどの世界的評価を受けたことは、「もったいない精神」が秘める可能性の高さを再確認させてくれる。
そんなことを考えながら、まずは気になるフレーバーを買って味わうべし!
[問い合わせ]エシカルスピリッツhttps://shop.ethicalspirits.jp