バブル時代、税金が下ったこともあり、角ばった3ナンバー・セダンが続々と登場。バンバン売れた。
しかしバブルが崩壊すると車は丸みを帯びるようになり、コンパクトカーやミニバンが台頭。そんな、時代に翻弄された国産カクカクセダンの魅力が、今再び増している。
■トヨタ「クラウン」
1987年に登場した8代目クラウン。セダンのほかにワゴンもあるが、税制改革を見越して4ドアハードトップのみ、全幅が3ナンバーサイズに拡幅されていた。
ひとつ前の7代目のCMキャッチコピーは「いつかはクラウン」と、憧れを促すものだったが、バブル景気で人々の気持ちは「いつかは……」から「今でしょ!」になったようで、この8代目はバカ売れ。
1990年の年間販売台数でカローラ、マークIIに次いで3番目に売れ、トヨタの牙城を築いた。
しかし1991年に丸みを帯びた9代目にモデルチェンジされると、一気に販売台数が落ち込むことに。堂々と押し出し感のあるデザインは、流線型全盛の今だからこそ格好いい。
■日産「シーマ」
平成に入って登場した3ナンバー車の象徴が、「シーマ現象」と呼ばれたほど売れた初代のシーマ。
他社では上記のクラウンのようにベース車を少しイジる程度にとどめたり、5ナンバーサイズのまま排気量をアップして3ナンバー化するケースが多かったが、シーマは最初から全長約4.9mの堂々とした3ナンバーボディが与えられて1988年にデビューした。
デザインを優先してサイズを決めたかのような専用ボディによって気品のある欧州車風のテイストを表現できたシーマは、一気に人気車となった。
1991年に2代目が登場するものの、結局初代を超えるシーマはまだ出ていない。最近では女優の伊藤かずえさんが新車で購入した30年来の愛車を、日産がフルレストアしていることも話題になっている。
■ホンダ「インスパイア/ビガー」
1989年にアコードとレジェンドの間を埋めるべくホンダが投入したのが、アコードの上級モデルであるインスパイアと、その姉妹車のビガーだ。
厚みを抑えた精悍なフロントマスクに、本革や天然木があしらわれたインテリアが人気となり、当時このクラスの絶対王者だったトヨタマークII・クレスタ・チェイサーという3兄弟に迫る勢いだった。
デビュー時は5ナンバー車だったが、1992年に全長+140mm・全幅+80mmとサイズを拡大した3ナンバー専用ボディが与えられたモデルが追加された。
その後伸びやかなフロントノーズやワイドなスタイルを得た後継モデルはさらに魅力が増し、インスパイアは5代に渡り販売されたが、初代以上に売れることはなく、2012年にその名が途絶えている。
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