フィラが今年、創業110周年を迎える。
自ら記念すべき年を祝うスペシャルなモデルを数多く仕込んでいるが、一発目に登場するスニーカーのコレクションは、一発目にして本命の風格がある。
その歴史に太字で記載される当該モデルとともに、改めてフィラの魅力を深掘りしていきたい。
アニバーサリーモデルのベースとなったのは「テニス 88」「グラントヒル Ⅱ」「MB」「ディスラプター 2」の4モデル。
いずれも自他ともに認めるマスターピースである。その歴史を振り返れば、フィラというブランドの輪郭がくっきりと浮かび上がる。
「テニス 88」はフィラがフットウェア市場に参入したはじめの一歩となるテニスシューズ、「オリジナルテニス」をオリジンとするモデルだ。「オリジナルテニス」は1987年にリリースされた。
1996年にリリースされた「グラントヒル Ⅱ」はデトロイト・ピストンズやオーランド・マジックで活躍したNBAプレイヤー、グラント・ヒルのシグネチャーモデル。
フィラがグローバルブランドへ脱皮するきっかけとなったモデルである。
「MB」も1996年にリリースされた。タトゥをアイコンとするNBAプレイヤー、ジャーマル・マッシュバーンのシグネチャーモデルだ。
マッシュバーンはダラス・マーベリックスやマイアミ・ヒートを渡り歩き、“Monster Mash”の異名をとった。
「ディスラプター 2」は’90年代後半にリリースされたターフトレーニングシューズ「ディスラプター」をベースにしたモデル。リブランディング(後述)のアイコンとなったモデルであり、ダッドシューズの火付け役だ。
時系列で追っていけばわかるように、フィラはテニスシューズで種を蒔き、バッシュで花開き、ダッドシューズで再び大輪の花を咲かせた。
アニバーサリーモデルはそれぞれモデル名のお尻に“CX”がつく。“CX”はローマ字数字で110の意だ。
ボディには110周年を記念するロゴプレートがあしらわれ、採用した素材は例外なくグレードアップされた。「テニス 88 CX」にいたってはコンストラクションにまでメスを入れた。ミッドソールをラバーからラバー&EVAのコンビネーションに変更し、より軽くて柔らかな履き心地を手に入れた。
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