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2021.08.23

ファッション

フィラの名作が揃い踏み! 110周年アニバーサリーモデルを一気見せ

フィラが今年、創業110周年を迎える。
自ら記念すべき年を祝うスペシャルなモデルを数多く仕込んでいるが、一発目に登場するスニーカーのコレクションは、一発目にして本命の風格がある。
「テニス 88 CX」1万3200円/フィラ 0120-00-8959
その歴史に太字で記載される当該モデルとともに、改めてフィラの魅力を深掘りしていきたい。
アニバーサリーモデルのベースとなったのは「テニス 88」「グラントヒル Ⅱ」「MB」「ディスラプター 2」の4モデル。
いずれも自他ともに認めるマスターピースである。その歴史を振り返れば、フィラというブランドの輪郭がくっきりと浮かび上がる。
1987年にリリースされた「オリジナルテニス」。
「テニス 88」はフィラがフットウェア市場に参入したはじめの一歩となるテニスシューズ、「オリジナルテニス」をオリジンとするモデルだ。「オリジナルテニス」は1987年にリリースされた。
「グラントヒル Ⅱ CX」1万6500円/フィラ 0120-00-8959
1996年にリリースされた「グラントヒル Ⅱ」はデトロイト・ピストンズやオーランド・マジックで活躍したNBAプレイヤー、グラント・ヒルのシグネチャーモデル。
フィラがグローバルブランドへ脱皮するきっかけとなったモデルである。
1995年にリリースされた「グラントヒル I」。
「MB」も1996年にリリースされた。タトゥをアイコンとするNBAプレイヤー、ジャーマル・マッシュバーンのシグネチャーモデルだ。
マッシュバーンはダラス・マーベリックスやマイアミ・ヒートを渡り歩き、“Monster Mash”の異名をとった。
「MB CX」1万5400円/フィラ 0120-00-8959
1996年にリリースされた「MB」。
「ディスラプター 2 CX」1万780円/フィラ 0120-00-8959
「ディスラプター 2」は’90年代後半にリリースされたターフトレーニングシューズ「ディスラプター」をベースにしたモデル。リブランディング(後述)のアイコンとなったモデルであり、ダッドシューズの火付け役だ。
「ディスラプター 2」のベースとなった「ディスラプター」。
時系列で追っていけばわかるように、フィラはテニスシューズで種を蒔き、バッシュで花開き、ダッドシューズで再び大輪の花を咲かせた。
アニバーサリーモデルはそれぞれモデル名のお尻に“CX”がつく。“CX”はローマ字数字で110の意だ。
ボディには110周年を記念するロゴプレートがあしらわれ、採用した素材は例外なくグレードアップされた。「テニス 88 CX」にいたってはコンストラクションにまでメスを入れた。ミッドソールをラバーからラバー&EVAのコンビネーションに変更し、より軽くて柔らかな履き心地を手に入れた。
「テニス 88 CX」1万3200円/フィラ 0120-00-8959
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創業以来大切にするフィ“ラ”ソフィー

改めてマスターピースを見て思うことは、世のスニーカー業界とは一線を画すデザインだ。
アッパーとミッドソールの境界線を取り払った「グラントヒル Ⅱ」のサイドデザイン、マッシュバーンのアイコンだったタトゥをグラフィックに落とし込んだ「MB」のソールデザイン、ヨットの旗をモチーフにした「テニス 88」や「ディスラプター 2」のFILAフラッグ──。
どれをとっても遊び心があり、強く記憶に残るデザインワークだ。機能開発の競争に明け暮れていたら、決して生まれることはなかっただろう。
「フィラはイタリアにルーツを持つブランドです。我々は創業以来、このアイデンティティを大切にしてきました。そしてその当初よりファッションという切り口を常に念頭に置いてきました。これを我々は“フィラソフィー”と呼んでいます」(マーケティング部マーケティング第二課、篠原康岐さん)

9人のフィラ兄弟が始動


フィラは1911年、9人のフィラ兄弟が伊ビエッラで創業したニットファクトリー、マグィリフィシオ・ビエッラ・フラテッリ・フィラをルーツに持つ。
日本語にすれば“ビエッラにあるフィラ兄弟のニットファクトリー”となるその会社は純ゴム製の薄いシートを帯状にしたアンダーウェアを考案して評判になった。

1970年代に入るとアンダーウェアのものづくりをスポーツウェアに応用、コットンリブを採り入れたテニスウェアで一躍表舞台に躍り出た。

そのテニスウェアにはもうひとつ、ユニークな仕掛けがあった。白地に赤と青を挿したトリコロールを打ち出したのだ。
テニスウェアといえばすでに白が主流だったとはいえ、今ほど厳格なルールがなかったためにフィラの遊び心はすんなりと受け入れられた。
それらのテニスウェアは、スポーツをする人も観る人も楽しめるものづくりを──というフィラの思いを初めて可視化したものだった。

この追い風を決定的なものとするべく、フィラは当時のスポーツ業界では前代未聞となるスポンサー契約に踏み切る。契約選手の第一号はテニスプレイヤーのビョルン・ボルグ。ボルグは契約を交わした翌1976年からウィンブルドン選手権5連覇を達成した。
現在契約しているテニスプレイヤー、ライリー・オペルカ。新世代で評判のビッグサーバーだ。
アンダーウェアから始まったフィラは「オリジナルテニス」を皮切りにフットウェア市場にも足を踏み入れ、堅牢強固な足場を築いた。
登山家のラインホルト・メスナーもフィラを語るときに欠かせないアスリートだ。人類初となるエベレスト無酸素登頂を果たしたメスナーが身にまとっていたのはフィラのウェアだった。1986年のことである。
時代は下って2017年、フィラは韓国を拠点とするグローバルブランドに。新たな態勢で再スタートを切ったフィラはファッションとの融合をより積極的に進めてきた。
ロシアのファッションデザイナーブランド、ゴーシャ・ラプチンスキーやニューヨークのストリートブランド、ステイプルといった脂の乗りまくったクリエイターとのコラボで脚光を浴びた。
今年は上述のアニバーサリーモデルに加え、新生フィラの本領発揮ともいうべき仕掛けも目白押しだ。Y project(フランス)、pushbutton(韓国)、The Perfect Magazineのケイティ・グランド(イギリス)といったキレキレのクリエイターがフィラとのコラボレーションを二つ返事で引き受けているという。
 
竹川 圭=取材・文

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