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初めての車は、モッズ好きが高じたボルボ・P1800S

実は阿部さん、本業はファッションデザイナーだ。「高校生の頃は周りと同じくアメカジだったのですが、女友達から『阿部くんは細いから、アメカジよりもモッズのほうが似合いそう』と言われたのがきっかけで、モッズカルチャーにハマっていったんです」。

高校卒業後はファッション系の専門学校へ入り、卒業後に自らのブランドを立ち上げた。しかし世の中そんなに甘くはない。

革のトランクにキッチンカーのグラスやお酒、おしぼり等を入れて移動。営業中に音楽をかけるためレコードプレーヤーもある。


「そこで食べるためにまず通信関係の営業を始めたんです」。すると自分でも知らなかった才能が開花!?したのか、お客さんが別のお客さんを紹介してくれるという好循環に。「それで初めて車を買いました。ボルボのP1800Sです」。

モッズがボルボ?と思うかも知れないが、実はザ・フーのボーカル、ロジャー・ダルトリーが乗っていたことでモッズファンの中では有名な車。

またイギリスのテレビ番組ではロジャー・ムーアの愛車として毎週登場していた。「しかも見つけたのがダルトリーと同じ1964年式でした」。

一方で営業成績も相変わらず好調だった。「けれど、一生続ける仕事ではないと思っていました」。ある程度の資金が貯まると、営業の仕事をやめ、向島でパブを開くことに。

「パブは、ファッションデザイナーとしてのショールームを兼ねられるし、そこでカスタムオーダーで服や靴を作ろうと思ったんです」。

商売繁盛や交通安全の御守りなど、カーマスコットやグッズがあちらこちらに。


ところがパブを開業して間もない頃、資金がショートしてしまう。

慣れないパブと、ファッションの仕事の両立。見通しが甘かった。売れる物は全部売ったが、それでもまだ足りなかった。「そこで泣く泣く、ボルボP1800Sを手放したんです」。

購入したときよりも高く売れ、ようやく資金ショートの穴を埋めることができた。ボルボが阿部さんを救ったのだ。

そして今度は、コロナ禍の阿部さんをミニ・トラベラーが助けようとしている。



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