OCEANS

SHARE

コロナ禍のピンチを救う救世主に

【写真15点】「見た目が勝負だと思って」選んだミニ・トラベラーの詳細写真をチェック

阿部さんにとって、愛車は人生の救世主だ。

現在乗っているのはモーリスのミニ・トラベラー、購入した理由は「コロナ禍を生き抜くため」だという。バンパーの形にこだわり、1966年式のマークIを選んだ。

「1968年式からはマークIIになってバンパーが異なるんです」。女性スタッフも運転出来るようにとAT車を探し、ようやく見つけた木枠の腐っていない、程度の良いマークI。

「たぶん、世界最小の自走式ロンドンパブですよ」。
このミニ・トラベラー、日常使いのほか、なんとキッチンカーとして使っている。
東京・向島でパブを営んでいる阿部さん。1Fはロンドンパブ風の、2Fはサイケデリック風の店だ。格安で貸してくれている大家さんは、内装のリノベーションも自由にやらせてくれた。

「凝り性なんで、他人に任せるのが嫌なんです」と賃料を払ったまま店を開けずに約1年間、DIYで内装を仕上げた。
gal_DSC5507
gal_DSC5510
gal_DSC5516
gal_DSC5515
gal_DSC5555

2011年にお店をオープン。周囲に若い層がお酒を飲める店があまりなかったこともあり、あっという間に常連がたくさんできた。

ところが昨今の新型コロナである。

「休業要請、時短要請、酒類の提供禁止、感染予防のため席の間引き……とてもじゃないですが、商売にならないんですよ」。恐らく日本中の同業者がきっと同じ思いを抱いていることだろう。

しかし阿部さんはめげなかった。「キッチンカーを試してみよう」。それも料理ではなく、お酒専門の。

「キッチンカーはまず見た目が勝負だと思ったんです。お客さんは『何だろう? 何か可愛いから寄ってみよう』それで初めて利用してくれて、あとは味や金額でようやく判断されます」。

確かに、お客からすればまずは見た目、そのあと口に入れて気に入るかどうか判断するものだ。

メーター周りにパネルがないのはオリジナルのママ。オーディオは当時のブラウプンクト社製で、友人にお願いしてスマホからの音楽を流せるようにした。


だからこそのミニ・トラベラー。昨年の夏頃に購入した。ところが納車わずか1週間後にトランスミッションが壊れてしまった。

修理工場に持っていくとエンジンも怪しいから、合わせて100万円はかかると言われた。「何とか60万円は工面したのですが、コロナ禍でとてもそれ以上は……」。

しかし、ここでも阿部さんは諦めなかった。クラウドファンディングで修理代を集めようと考えたのだ。

「お礼に私のデザインしたTシャツと、パブで使えるドリンクチケットを用意しました」。すると常連さんたちを中心に支援が集まり、1カ月間で130万円近く集まった。改めて昨年10月からキッチンカーをオープン。

「おかげで今は快適に走れます」。現在は週末の公園でビールやカクテルを販売している。



3/4

次の記事を読み込んでいます。