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Have a nice ONSEN trip
2011年にお店をオープン。周囲に若い層がお酒を飲める店があまりなかったこともあり、あっという間に常連がたくさんできた。
ところが昨今の新型コロナである。
「休業要請、時短要請、酒類の提供禁止、感染予防のため席の間引き……とてもじゃないですが、商売にならないんですよ」。恐らく日本中の同業者がきっと同じ思いを抱いていることだろう。
しかし阿部さんはめげなかった。「キッチンカーを試してみよう」。それも料理ではなく、お酒専門の。
「キッチンカーはまず見た目が勝負だと思ったんです。お客さんは『何だろう? 何か可愛いから寄ってみよう』それで初めて利用してくれて、あとは味や金額でようやく判断されます」。
確かに、お客からすればまずは見た目、そのあと口に入れて気に入るかどうか判断するものだ。
だからこそのミニ・トラベラー。昨年の夏頃に購入した。ところが納車わずか1週間後にトランスミッションが壊れてしまった。
修理工場に持っていくとエンジンも怪しいから、合わせて100万円はかかると言われた。「何とか60万円は工面したのですが、コロナ禍でとてもそれ以上は……」。
しかし、ここでも阿部さんは諦めなかった。クラウドファンディングで修理代を集めようと考えたのだ。
「お礼に私のデザインしたTシャツと、パブで使えるドリンクチケットを用意しました」。すると常連さんたちを中心に支援が集まり、1カ月間で130万円近く集まった。改めて昨年10月からキッチンカーをオープン。
「おかげで今は快適に走れます」。現在は週末の公園でビールやカクテルを販売している。
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