OCEANS

SHARE

  1. トップ
  2. まるで“新車で買える旧車”。ロシアのUAZ「ハンター」が入手困難なほど愛されるワケ

2021.07.11

まるで“新車で買える旧車”。ロシアのUAZ「ハンター」が入手困難なほど愛されるワケ

古いランクルやジープやディフェンダーが好き。そんな人に知ってほしいロシアの武骨な最新SUVは、先日紹介したラーダ ニーヴァだけじゃない。
まるで第二次大戦直後からタイムスリップしてきたかのようなミリタリールックのワズ(UAZ)「ハンター」も、最近は国内のコアなSUVファンから絶大な人気を誇っている。
ワズ ハンター
ハンター。最低地上高は210mmとロードクリアランスは十分。今回もラーダ ニーヴァに続いて車の輸入販売を行うオートリーゼンにお話をうかがった。写真の「HUNTER CLASSIC」は385万円〜。
ワズはロシアの自動車メーカーで、ハンターはソビエト時代に開発された小型軍用車がルーツ。
ツンドラや手つかずの広大な森林があるロシアを“生きて”走り抜けなくてはいけないゆえ、オフロード走行時の過激な負荷に耐え、悪路を前進し続ける為の耐久性も高いという。
ハンターにウインチやけん引ヒッチ、ルーフラックなどを備えた遠征仕様の「ハンター エクスペディション」。
ボディサイズは全長4100×全幅1730×全高2025mmと、トヨタのライズくらい。デザインは約50年前からほとんど変わっていないという、信じられないぐらいのロングセラーモデルだ。
このままもう一度軍用に転じられるくらい装飾性がないのはエクステリアだけでなく、インテリアも同様。壊れるリスクがあるからと、パワーウインドウではなく、窓は手で左右にスライドする。そうだよね、−50度で電動の窓が閉まらなくなったら、死んじゃうもの。
現行型のジムニーやランドクルーザーのような日本製本格派SUVと同じく、万が一ボディに大きな動物や岩にぶつかっても走行できるよう強固なラダーフレーム構造を採用している。
リアは堅牢で修理もしやすいリーフスプリング式サスペンション。
小さいのに、2.7Lのパワフルなエンジンを搭載。これに組み合わされるミッションは5速MTのみ。パートタイム4WD式で、副変速機で2WD/4WDを切り替える。
残念ながらメーカーオプションのエアコンは用意されていないが、さすがに蒸し暑い日本で真夏を過ごすのは大変。そこでハンターを輸入販売しているオートリーゼンでは社外品のクーラーを取り付けてくれる。

オートリーゼンの中島さんに話を伺うと「当社でワズを扱いだしたのは3年半ほど前からですが、アウトドアや旧車ブームを受けて最近は問い合わせが増えています」という。
バックオーダーを抱えるほどの人気で「今まで販売したハンターで手放した方はほとんどいないのですが、おひとりだけ手放したいという方の車は、ブログに上げた途端にすぐに売れてしまいました」。つまり中古車が瞬殺されるほど、リセールバリューも高いということだ。
ラーダ ニーヴァ同様シンプルな構造ゆえ、旧車をはじめ昔の車に慣れている修理工場ならたいていは直せるそう。「部品が必要な場合は、多少時間はかかりますが、我々で手配できますからご安心を」。
またオートリーゼンではエンジンやトランスミッションなど基幹部分に1年または2万kmの保証をつけてくれる。
ステアリングの右側にあるのが速度計。油温計や燃料計などがダッシュボードの中央部に並ぶ。シートやフロアマットも洗いやすい素材が採用されている。
基本的に、旧車と同じように扱えばそんなに手強い相手ではない。「警告灯などであれこれ教えてくれる現代の車とは逆に、水温計をよく見ておくとか、臭いや音、吹け上がり方に違いはないかなど、オーナーが車の調子を見てあげる車です」。
付き合い方も旧車みたいな新車。少しぐらい手間のかかる、いや手間をかけるからこそ愛着も深まる、そんな懐かしい車との付き合いを新車でしたいなら、ハンターは打ってつけの相棒なのだ。

ワズはほかにも強者揃い

「パトリオット」


2005年に登場したワズ待望の新型車パトリオット。2005年にしてワズ初のAT(6速車)で、1990年代の日本車風の外観もグッド。街乗りからオフロードもこなし、もちろんエアコンもメーカーが標準装備している。385万円〜。
 

「2206」


以前にオーシャンズ でも紹介した定番の人気ワゴン「2206」。軍用車の技術が応用されて開発されたトラックやバンがルーツ。こちらもデザインは50年間ほぼ変わっていない。オートリーゼンでは、夏でも安心のツインクーラーを標準装備して販売している。309万5000円〜。
 
籠島康弘=文 オートリーゼン=取材協力


SHARE

次の記事を読み込んでいます。