OCEANS

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あなたらしく、ありのままで。


ローズ家はオーストラリアのカフェ文化に魅了され、ハワイにも同じようなシーンがあったらいいなと、自分たちのコーヒーショップを開くことを真剣に考えるようになった。
パイコの一角に利用できるスペースがあることがわかったが、そのタイミングが悪かった。数日前に、フェニックスが木から落ち、もう少しで死んでいたかもというほど深くガラスで脚を切ってしまっていた。
さらに、少し前に、娘のロージーを身ごもったことがわかったばかりだった。普通なら、こうした出来事が起きて生活に落ち着きがなくなると、新しい冒険に飛び込むのは無謀だと考えるものだろう。
だが、メイソンさんとディクシーさんは違った。やってやろう、と言ったのだ。
ふたりのカフェは「オージー流」であるべきだとして、相性ばっちりのエスプレッソとミルク、ベジマイトを使ったアボガドトースト、その他オーストラリアならではの商品でもてなそうと考えた。
それだけではない。メイソンさんが、自分の小さな作業場があるクリエイティブのための共有スタジオ、「ラナレーン」で才能ある友人たちにも声をかけたところ、映像作家のヴィンセント・リカフォートが抹茶チアシードプディングのレシピを、アーティストのジェフ・グレスが手書きのメニューをそれぞれ提供してくれた。


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