パンダダイヤル — ホワイトダイヤルにブラックのインダイヤルを備えたクロノグラフが、その見た目から、いつしか時計ファンの間でこう呼ばれ始めた。
懐かしくもあり、愛らしくもあるこのタイプが今年はなかなか良い出来栄え。ここでは注目すべき2本をリコメンドしよう。
「パンダらしさ」にこだわった横2つ目クロノグラフ
そのビジュアルを、中国生まれの愛らしい珍獣になぞらえた愛称で知られるヴィンテージディテールだが、特に正式な定義があるわけではない。基本的には、ホワイトダイヤルにブラックのサブダイヤルを設けていれば、概ねそのように呼んでいる模様。
その起源も定かではないが、一説では、レーシングフラッグのチェッカーを模したともいわれている。実際、レーシング系クロノグラフに多く採用されている。
何より、多くの時計ファンが知るのは、1960年代の伝説的な時計、ロレックスのコスモグラフ デイトナ=通称「ポール・ニューマン」だろう。これも、「パンダ」のひとつだが、値段がまったく愛らしくないどころか、おいそれと手に入る流通量でもない。眺めて楽しむ代物だ。
一方で、「パンダらしさ」にこだわるならば、横2つ目のクロノグラフがそれらしいと思うがどうだろう。良作が揃うパンダダイヤルから、ツーカウンターをピックアップする。
ひとつはチューダー。先端を四角形に仕上げたスノーフレーク時針や、スチールベゼルが、いい味を醸している。
もうひとつは、ハミルトンだ。こちらは、自社のアーカイブに範を取った意欲作で、現代的なエレガンスも宿している。
アナタの身の回りにいる、時計好きへの客寄せ「パンダ」にはなりそうだが、目当ての女性を引き寄せられるかは微妙だ。
※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール
TAKAY、竹内裕二(BALLPARK)=写真(人物) 作木正之介=写真(静物) 熊谷隆志、梶 雄太=スタイリング 池上 豪(NICOLASHKA)、飯嶋恵太(Mod’s Hair) =ヘアメイク 柴田 充、髙村将司、オオサワ系、まつあみ 靖、戸叶庸之=文