とはいっても、ヨガの世界は深遠だ。いったい何から始めればいいのか?
「アーサナと呼ばれるヨガのポーズを正確に行うことも大切ですが、ヨガの基本となるのは呼吸に意識を集中させる瞑想です。呼吸はカラダとマインドをつなげるツールですから、この動作を整えるだけでもカラダのバランスを調整することができます。
また、ヨガの世界では、生物が一生で行う呼吸の数は決まっているといわれています。実際、長寿で知られるカメの呼吸は1分間に3回ほど。人間も普段からゆっくりと長く深い呼吸を心がければ、長生きできるのです」。
深呼吸のリラックス効果は知られているが、まさか寿命まで延びるとは!
「呼吸は口ではなく、鼻で静かにゆっくりと。吸うときは肺の横幅が広がるイメージで、へそのあたりを風船のように膨らませます。呼吸が落ち着いてきたら、1分間で行う呼吸の数を少なくすることを意識してください。
吐いて吸う、それぞれの時間をできるだけ延ばしていけば、呼吸の数は少なくなります。1分間に4回の呼吸を目指してください」。
瞑想を終え、ゆっくり目を開けると、青みがかったように視界がクリアになり、熟睡したあとのように気持ちもすっきり! さらに今回はオーシャンズ世代におすすめというアーサナも教えてもらった。
「普段運動をしない人がヨガをすれば、カラダの不調が改善しますし、アスリートの人がヨガをすれば、カラダのバランスが整うことでパフォーマンスが高まります。
ヨガの世界には『ヨガ・イズ・センター(ヨガはすべての中心)』という格言があるのですが、その言葉どおり、ヨガはすべての人の中心にあるのです」。
ニーマル・ラージ・ギャワリ●1976年生まれ。ネパールで生まれ、9歳の頃から祖父が創立したアローギャ・アシュラムでヨガの研鑽を積み、15歳で王族や上流階級の人々への指導を開始。ヨガと自然療法を学び、22歳でアローギャ・アシュラムで博士号を取得。世界20カ国でヨガ瞑想を指導したあと、2003年に来日し、ヨガの振興に尽力。’08年にニーマルヨガ白金台スタジオをオープン。瞑想講座には200人以上が詰めかけ、インスタライブでは月間1万人を突破するなど、現在日本で最も人気のあるヨガインストラクターのひとり。
朴 玉順(CUBE)、山本雄生、山城昌俊、鈴木泰之、宮前良将(Seven Bros. Pictures)、Rip Zinger=写真 水嶋和恵(La Plage)=ディレクション 加瀬友重、菊地 亮=編集・文 シーホース=翻訳・取材 小山内 隆、押条良太(押条事務所)、髙村将司=文