20年以上前に運命的に出会って以来、反町隆史さんの腕元には常にパネライがある。最新の機能を搭載しつつも、これみよがしにならない適度なラグジュアリー感と武骨なデザインは、世代を超えて愛される。
そして愚直なまでのクラフツマンシップは、反町さんの生き様に共鳴するのだ。
▶︎インビュー前編は
こちら「いつまでも変わらぬ価値観でバスフィッシングをしていたい」
反町さんとパネライの共通点は、こだわりの強さにあるだろう。
趣味であるバスフィッシングへの深い愛情、そして時計作りに対する愚直な姿勢。まだ二拠点生活という言葉すらなかった約10年前、バスフィッシングを楽しむための基地として、琵琶湖のある滋賀県内に家を建てた。そこで過ごすひとときこそ、反町さんにとってかけがえのない時間となっている。
「毎日見ている湖の景色が、季節やその日の天気によって変化するのですが、それを見るのがすごく好きなんです。ひとりで何も考えずに、ただ漫然とバスフィッシングをすることもそうですが、仲間と一緒にワイワイしたり、湖畔で過ごす時間もすごくリフレッシュできます。
東京は刺激的な街ですが、なぜか東京にいるときよりも琵琶湖にいるほうが心が躍るんです。バスフィッシングや自然の中でのキャンプ、釣った魚を自分で捌いて食べたりするなど、そういうほうが、今の自分にとってはすごくナチュラルといいますか、ニュートラルな自分でいられるのです。
年齢を重ねるにつれて、無意識にそういった価値観に変わっていきました」。
家を建ててしまうほど、長年にわたって没頭しているバスフィッシング。始めたきっかけについてたずねると、「それ、聞いちゃいます?(笑)」と、子供のようないたずら交じりの笑顔を浮かべる。
「小学生のとき、よく遊んでいたグループがあったんです。5人グループだったのですが、その中にすごく裕福な家の友達がいたんです。例えば駄菓子屋さんに行っても、みんな20円くらいしか持っていないのに、その子だけ500円持っているような子で。
彼だけ兄貴からもらったバスフィッシングの道具とルアーを大量に持っていたんです。ルアーを見ても、当時の僕は何に使う物なのかすらわからなかったのですが、やっぱり男の子って道具とか好きじゃないですか。『これかっこいいね。何に使うの?』って聞いたら『アメリカの魚を釣るんだ』って。
それからというものの、釣り道具がどうしても欲しくて、お年玉や誕生日、クリスマスなどから少しずつお金を貯めてやっと買ったんです。そこから僕のバスフィッシングのキャリアがスタートしました。
その数年後に初めてブラックバスを釣ることができるのですが、そのときに湖でたまたま通りかかった、ラメでピカピカに光っている真っ赤なボートのあまりのかっこ良さに衝撃を受けて、今自分も赤いボートに乗っているんです」。
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