──昔は古着のTシャツって敷居の低いイメージがありましたけど、今はまた違いそうですね。高橋 たぶん、いいTシャツとかアメリカ製古着が今どこに集まっているかと言うと、僕らくらいの世代の、今は服にあんまり興味がなくなった人のクローゼットだと思うんですよ。それが結局メルカリとかに出品され売買される。
山口 確かに。
高橋 今は一億総古着屋の時代になったから、それも価格高騰の因子だと思う。スニーカーみたいにリセールバリューがつくってわかったら高値でも買う、っていうように。
一回着ただけで価値がガクンと下がる服を買うくらいなら、10万円で買ってずっと着てもまた10万円で売れるものを選ぶ。そういう考え方。しかも若い子のほうがそれをわかっていて、高いものをちゃんと買うんだよね。
山口 今は昔と違ってみんなが価値に気付いてきているから、ブルース・ウェバーものを指名買いしたりとか、話は通じやすくなりましたよね。
高橋 出てこないわけではなく、見つかるけれど高額で……っていう状態だね。
山口 自分の店でも本当は安く出したいけど、なかなかできなくなりましたね。
高橋 昔の値段を知ってる人が「今ってレッチリのTシャツがこんなにするんだ⁉︎」とか知るとまた着たくなって安く探そうとするんだけど、安く出ることなんてもうほとんどない。「一点モノは出会ったときに買っておきましょう」ってことはよく言います。
──価格高騰は続く一方なんでしょうか?山口 でも、そろそろ相場についていけてないなとは思いますけどね。
高橋 わかる。ヴィンテージTシャツでも、まだ安めでこの先上がるカテゴリーもあると思うけど、それこそブルース・ウェバーを筆頭に有名どころは日本国内ではもう頭打ちな気がします。
山口 仮にこれ以上値が上がっても誰も買えないよ、っていう感じになりそう。
──話題の尽きないヴィンテージT談義。後編では偽物事情やインスタグラムの影響について伺う。 2107072
タランティーノ節全開の名作『トゥルー・ロマンス』。シンプルデザインの公式T。参考商品/髭 instagram@hige_senju
「ロンドンナイト」の10周年記念。女王風に入る顔はDJの大貫憲章さん。1万9800円/エニティー instagram@anyteeshop
前後にまたがる多色刷りが斬新なミッキーTシャツ。ボディはフルーツ・オブ・ザ・ルーム製。2万1780円/髭 instagram@hige_senju
写真の判型も今っぽいゲスのフォトT。作家不明だがクールなモノクロ。2万9800円/エニティー instagram@anyteeshop
ネスレのアイスクリームTは’94年、ハンナバーバラのコピーライト。2万4800円/エニティー instagram@anyteeshop
※本記事に掲載されているTシャツは基本的に一点モノになります。お問い合わせしていただいた時点で在庫がない場合がございますのでご了承くださいTaichi=写真 今野 壘=文