──この出会いをきっかけに誕生したのが、ここで着ている白Tシャツだ。数多の白Tシャツを手に取り、互いに議論を重ねた結果、選ばれたのは、「フーズメイキング」の一枚。それをベースに“吉田栄作らしさ”を感じる意匠を随所に詰め込んだ。吉田 基準はひとつ。“格好いいかどうか”。’90年代当時の着こなし方のようなワイルドで男らしい見た目になる仕掛けを盛り込んだり、生地の風合いは逆にエレガントで上品なものを選んだり。とにかくいろんな話をしましたね。
夏目 最近のTシャツのトレンドは、とにかくビッグシルエット。それに対するアンチテーゼではないけれど、新定番となるクラシックなものを目指しました。
だから身幅はやや広めでも、肩はジャストフィット。生地はしっかり目が詰まって重厚感がありながら、しっとりしなやか。首回りは栄作さんのイメージに合わせて、リブ仕立てに。
また、栄作さんの当時のエピソードから着想を得て、袖をネックと同幅のロールアップスリーブにしてアクセントを。結果、汎用性が高く着こなし方も自由自在なのに新鮮に映る「吉田栄作モデル」と呼ぶに相応しい白Tシャツが完成しました。
吉田 当時は同じ白Tシャツでも、TPOに合わせて着分けていたんですよ。着込んだことによる表情や生地の風合いの違いによって、ドラマ用、ライブ用、普段着用といった具合に。
今回の一枚は、高級レストランにだって着て行けるような、大人の佇まいがある。納得の出来栄えです。
──確かに、このコラボTシャツを着こなす吉田さんの姿を見れば一目瞭然。流行からは遠いが、ルーズさがなく、品格さえ感じる。吉田 僕自身にいちばん似合うように作ってもらったからね。このTシャツが似合う体型をいつまでもキープしておかないと(笑)。
田中丸善治=写真 菊池陽之介=スタイリング TOSHI(Le’vie)=ヘアメイク 大木武康=文