組織変革は非常に難しいチャレンジ
そもそも、一旦根付いた組織文化を変革することは非常に難しいことです。
企業変革についての第一人者、ハーバードビジネススクールのジョン・P・コッターによれば、企業をある状態から別の状態に変革させるためには、8つもの段階があるとのことです。
それは以下の通りです。
1) 危機意識を高める
2) 変革推進のための連帯チームを築く
3) ビジョンと戦略を生み出す
4) 変革のためのビジョンを周知徹底する
5) 従業員の自発を促す
6) 短期的成果を実現する
7) 成果を生かして、さらなる変革を推進する
8) 新しい方法を企業文化に定着させる
(出典:ジョン・P・コッター『企業変革力』日経BP社)
詳細説明は書籍に譲りますが、これだけのステップを踏まなければ変革は成功しないとコッターは言います。
しかも、コッターはこの8段階について、第1段階から順を追って進めることが重要で、途中のプロセスを飛ばしてはいけないと強調しています。
まず組織内で十分な準備をしてから新人を受け入れる
この理論で言えば、新しい文化に適した人を採用して変革を促進するというのは7段階目以降のことです。それまでに多くのことを社内でやっておかなければ組織文化変革は成功しないのです。
それなのに、6段階目までの組織内での準備ができていないのに、「いちばん手軽にできるから」ということで、まず採用から始めてしまうところが、残念ながらよくあります。
なんでもそうですが、「やりやすいところから始める」ではなく、順序が大事なのです。若い新人たちを組織変革の犠牲にしてはなりません。
そうでなければ、いざ、社内の準備が整って、新しい文化に適した人をいよいよ本格的に採用しようというとき、先人たちの死屍累々を見て、「こんな会社には入らないようにしよう」と有望な若手たちは思うことでしょう。ぜひご注意を!
連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった
「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
上に戻る 曽和利光=文 株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長 1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。 |
石井あかね=イラスト